訪問看護師のオカルト体験談

幽霊って、信じますか?

筆者は子どもの頃から幽霊や心霊現象は全く信じないタイプで、大人になってからも信じることはありませんでした。
嫌いだから、怖いからという訳ではなく、自分自身幽霊を見たことがないからです。根っから「幽霊なんていないし!」と思っているので、お化け屋敷や肝試し、怖い話を聞いてもビックリはするけど、あまり怖いとは思わないのです。
そんな筆者が訪問看護を行って「もしかしたら存在するのかもしれない」と思った出来事をお話ししたいと思います。その前に、病棟勤務だった頃の小話をさせてくださいね。

新人ナースだった頃、霊感の強いAナースとBナースの3人で夜勤を組んだ時の話です。
私が仮眠を終えて帰ってくると、AナースとBナースは「今日はいるよね」と話しているのです。「ちょうど、そこの隅と、シャーカッセンの裏だよね」「そうそう」幽霊を信じていない私でも、リアルすぎるこの話の内容には恐怖でした。
話を聞くと白い服を着た女の人がその二か所に出没するそうで、目を向けることが出来ませんでした。
他には、処置室で仮眠をとると鷲鼻の魔女みたいなおばあさんが覗きに来る話や、武者と赤い服を着て赤い口紅をした女の人が壁を通り抜けていくという話も聞かされたことがあります。新人ナースを怖がらせる悪戯か!?と思うこともありましたが、この二人の先輩ナースと夜勤を組むことが苦痛だった新人の頃を思い出します。

そんな筆者も訪問看護師として勤務していた頃のお話です。
最愛の奥さんに先立たれてから認知症を発症し、それでも一人家で暮らしていたCさん。Cさんはがんを患っており、奥さんと思い出の家で最期を迎えたいという願いがありました。
がんが進行し、Cさんも臨死期の頃には介護してくれる家族がいなかった為、看護師やヘルパーが毎日時間単位で訪問してケアをしていました。その時期に筆者はCさんの担当をしていたので、ほぼ毎日訪問をしていました。
息を引き取る数日前から、Cさんの自宅にはCさんと筆者しかいないはずなのに私は何か気配を感じるのでした。その時、Cさんをしっかり看ていないという使命感が強かったので怖さはありませんでした。
Cさんがお亡くなりになり、数日後訪問した他のスタッフにその話をすると、私と同じ体験をしたスタッフが3人いたことが判明しました。もしかしたらCさんが旅立つ時を奥さんがお迎えに来ていたのかなと訪問スタッフで話していました。
筆者は幽霊とか心霊現象などを否定していましたが、その体験から存在するものとして認識するようになりました。幽霊は怖いというイメージではなく、何か目的を持って存在していて、怖がらせるような存在ではないんだなぁ……と改めて感じました。
特に在宅では利用者さんの家族構成やその家族の歴史まで知ることが出来るため、もし在宅の場で幽霊らしきものに遭遇しても、どっしりと構えていられる自信があります。
例えば、利用者さんが亡くなった際に、家族は悲嘆感情が出現しますが、「天国でご主人が見守っているようですね」「家族にありがとうって言っていますよ」と亡くなった人の代弁者となり、死後の家族ケアに繋がるのではないかと考えています。訪問看護をしていると、ケア以外にも家の中の状況(匂い、湿度、温度など)や家族の会話内容なども見えてきます。
また、経験を積むと、本来見えないものまで見えてくるのだと思いました。筆者が新人の頃AナースとBナースが話していた内容も本当の話だったのかもしれませんね。筆者は幽霊、信じています。

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