2025年に向けた訪問看護ステーションの重要な未来

2025年の高齢化社会に備えて必要な訪問看護師の数とは?

現在、訪問看護師として働く看護師の数は約40,783名(平成25年データ)ですが、今後の超高齢化社会に向けて、日本訪問看護協会は2025年までに必要な訪問看護師の数を推計しています。高齢者の増加に伴い、在宅ケアの需要はますます高まると予測されています。訪問看護師の役割は、病院ではなく自宅での療養を希望する高齢者やその家族にとって、ますます重要なものとなります。

驚きの数値:15万人の訪問看護師が必要!

2025年までに必要な訪問看護師の数は、なんと約15万人とされています。これは現在の約3倍の人数であり、現状では全く足りていない状況です。現在の訪問看護師数は全体の約3割程度であり、10万人もの訪問看護師をどのように増やしていくかが非常に重要であり、困難な課題です。この課題に取り組むためには、教育体制の整備や職場環境の改善など、多方面での取り組みが必要です。 訪問看護ステーションの数は毎年増え、その数なんと15000ステーションを超えるほどになっています。

そして残り1年で2025年、現在訪問看護で働く看護師は何名なのか?あくまで推計になるのですが令和4年では約9万人と推計されています。かなり増えてはいますが、まだ5万以上足りていないといことですね。
データ出所:「政府統計の総合窓口 e-Stat」「介護サービス施設・事業所調査

日本訪問看護協会の提案するアクションプラン

  1. 訪問看護師の安定的な確保
    • 2025年までに訪問看護師の数を約15万人に増やすことを目標とする。これは在宅ケアを推進する看護師や医療機関で訪問看護に従事する看護職員を含みます。目標の人数は、在宅死の割合をオランダやフランスなどの水準に引き上げる場合に必要な人数です。
  2. 新卒看護師が訪問看護師を目指す教育モデルの確立
    • 新卒の訪問看護師を確保するための教育モデルを確立する。具体的には、大学や専門学校でのカリキュラムに訪問看護に特化したプログラムを導入し、現場での実習を通じて、訪問看護の重要性と魅力を伝えることが求められます。
  3. 訪問看護師が安心して働ける職場環境の整備
    • 訪問看護師が安心して働けるように、待遇改善や働きやすい職場づくりに向けた活動を推進する。これには、給与の見直しや労働時間の短縮、職場の人間関係の改善などが含まれます。さらに、訪問看護師が専門的なスキルを継続的に学び、キャリアアップできるようなサポート体制も整備することが重要です。

教育モデルと待遇改善の急務

日本の高齢化社会に対応するためには、訪問看護師の数を増やすだけでなく、質の高いケアを提供できるようにするための教育モデルの確立と待遇改善が急務です。以下に、これらの重要な取り組みについて詳しく説明します。

教育モデルの確立

  1. 訪問看護に特化したカリキュラムの開発: 大学や専門学校で訪問看護に特化したカリキュラムを開発し、学生が訪問看護の現場で求められる知識やスキルを習得できるようにすることが重要です。このカリキュラムには、在宅医療の基礎知識、緊急対応のスキル、コミュニケーション技術などが含まれます。
  2. 現場実習の強化: 学生が実際の訪問看護の現場で実習を行う機会を増やすことが求められます。これにより、学生は理論と実践を結びつける経験を積むことができ、卒業後に即戦力として活躍できるようになります。現場での実習は、訪問看護師としての自信を育むためにも重要です。
  3. 継続教育プログラムの導入: 訪問看護師として働き始めた後も、継続的な教育プログラムを提供することが必要です。これには、最新の医療技術やケア方法の更新、専門的なスキルの向上、キャリアアップのための研修などが含まれます。これにより、訪問看護師は常に最新の知識とスキルを持って患者に対応できるようになります。

待遇改善の必要性

  1. 給与の見直し: 訪問看護師の給与を見直し、他の医療職種と比較しても遜色のない水準に引き上げることが必要です。適切な報酬は、訪問看護師のモチベーションを高め、長期的なキャリアを支える重要な要素です。
  2. 労働環境の改善: 訪問看護師が働きやすい労働環境を整えるための取り組みが必要です。これには、ワークライフバランスの確保、労働時間の適正化、メンタルヘルスサポートの提供などが含まれます。特に、訪問看護は一人で行うことが多いため、孤立感を感じないようなサポート体制の整備が重要です。
  3. キャリアパスの明確化: 訪問看護師がキャリアアップできる明確キャリアパスの明確化により、訪問看護師がキャリアアップできる明確な道筋を提供することが重要です。キャリアパスの例としては、専門分野での資格取得、管理職への昇進、教育者としての役割などがあります。こうしたキャリアパスを提供することで、訪問看護師のキャリアを支え、長期的な成長を促進します。
    1. 職場環境の整備: 訪問看護師が安心して働ける職場環境を整えることも重要です。これには、チームワークの強化、コミュニケーションの促進、働きやすい設備の提供などが含まれます。訪問看護師はしばしば一人で患者の家を訪れるため、職場でのサポート体制が充実していることが求められます。
    2. メンタルヘルスサポート: 訪問看護師が精神的に健康であることは、質の高いケアを提供するために欠かせません。定期的なカウンセリングやメンタルヘルスに関する研修、ストレス管理のためのリソースを提供することが重要です。また、同僚や上司との信頼関係を築き、困難な状況でも相談しやすい環境を整えることも必要です。
    3. 労働時間の適正化: 訪問看護師の労働時間を適正化し、過労を防ぐための取り組みが必要です。これには、シフト制の導入や、訪問スケジュールの見直し、休暇の確保などが含まれます。特に、緊急訪問が多くなることが予想されるため、柔軟な労働時間管理が求められます。

    新しい技術の活用

    1. IT技術の導入: 訪問看護師が効率的に業務を行うためには、IT技術の導入が不可欠です。電子カルテや遠隔診療システム、モバイルアプリなどを活用することで、情報の共有や管理がスムーズになり、訪問先での業務効率が向上します。
    2. データ分析とフィードバック: 訪問看護師が提供するケアの質を向上させるために、データ分析を活用することが考えられます。患者の健康状態やケアの結果をデータ化し、定期的にフィードバックを行うことで、看護師自身のスキルアップにもつながります。
    3. オンライン研修とリソース: オンライン研修やリソースの提供も重要です。これにより、訪問看護師は忙しいスケジュールの中でも、最新の知識やスキルを学ぶことができます。また、オンラインコミュニティを活用することで、全国の看護師との情報交換や支援を受けることが可能になります。

    最後に

    訪問看護師の教育モデルと待遇改善は、質の高い在宅ケアを提供するための基盤となります。これらの取り組みが成功すれば、訪問看護師のモチベーションや働きやすさが向上し、高齢化社会においても安心して生活できる環境が整います。看護師や理学療法士の皆さんも、これからの変化に積極的に対応し、一緒により良い未来を築いていきましょう。

最後に

保育士の問題と同様に、訪問看護師の問題も同様に議論を進める必要があります。これからの高齢化社会に備え、看護師や理学療法士の皆さんも一緒に考え、行動していきましょう。訪問看護師の役割はますます重要となり、高齢者やその家族にとって大きな支えとなります。

このような取り組みが実現すれば、2025年の高齢化社会に向けて、質の高い在宅ケアを提供できる体制が整うことでしょう。皆さんもぜひ、訪問看護の未来に向けて、一緒に取り組んでいきましょう。

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