【5分じゃできない】採用成功の為の統計学/データ分析(基礎編)講座〜大前提の数字の見方〜

統計学を活かした看護師の採用戦略とは?データサイエンスで採用を成功に導く方法

統計学を活かした採用戦略とは?データサイエンスで採用を成功に導く方法

看護師として働いている皆さんや、採用担当者として優秀な人材を確保しようと日々奮闘している方へ。
「統計学が採用で役立つ」なんて聞いたことがあるでしょうか?

データサイエンスや統計学と聞くと、難しそうに感じるかもしれませんが、実はこれらは採用プロセスや業務の改善に非常に効果的なツールです。特に看護師の採用では、応募者の質や離職率の管理、さらには業務効率の改善まで、さまざまな局面で大きな力を発揮します。

看護師採用に関わらず、理学療法士であっても専門職の採用は年々採用単価も上がり、採用難易度も上がっています。特に訪問看護ステーションを開設しはじめは、看護師としてのプロフェッショナルであっても、経営者であることや人事であることは初めての経験で、うまくいかないと悩んでいる看護師/理学療法士も少なくありません。訪問看護は人数が売上に大きな影響を与えるために、採用ができなければ究極的には廃業や休業になってしまうことがあります。

今回はそんな初めて訪問看護ステーションを開業し、初めて人事を兼業する経営者である看護師/理学療法士に向けた、統計学や数学を活用した採用の方法を開設します。難しく感じるかもしれませんが大丈夫、問題ありません。ぜひ楽しみながら読み進めてくださいね。

なぜ統計学が採用で重要なのか?

統計学は、応募者のデータや面接結果を数字で分析し、将来のパフォーマンスや離職のリスクを予測するための強力な手段です。これにより、採用後のミスマッチを減らし、最適な人材を効率的に見つけることが可能になります。

私たち訪問看護求人JOBSは病院院や訪問看護ステーションの採用支援を行い、80施設以上の採用コンサルティングやデータ分析を行い、採用成功率を劇的に高めた事例があります。具体的には、応募者のスキルや経験、面接でのパフォーマンスをデータとして収集し、重回帰分析を活用することで、どの要素が採用成功に寄与しているのかを明確にしました。これにより、採用基準を精緻化し優秀な人材の採用率が向上したのです。

つまり採用を数値化することで、課題を明確にし改善することができるということです。

採用以外にも役立つ統計学の応用

統計学やデータ分析は、採用だけでなく、離職率の改善業務効率の向上にも活用できます。データをもとに現場の問題点を浮き彫りにし、具体的な改善策を立てることで、スタッフの満足度向上や業務負担の軽減を実現することができます。

たとえば、自院で働いている看護師/理学療法士の離職率を分析し、どの要素が離職に強く影響しているかを特定することで、働きやすい職場環境の構築が可能です。さらに、看護師のスケジュールや業務の負担をデータとして可視化し、効率的に業務を割り振ることもできるため、全体的なパフォーマンスの向上が期待できます。もちろん利用者の満足度調査も可能なので、訪問看護を運営しているのに、なぜか継続してもらえなかったり、新規が入らない場合は利用者の満足度調査や数値化も必要な施策といえます。

過去の事例になりますがある病院の採用において、応募者の年齢、経験年数、面接評価、入職後のパフォーマンスなどをデータとして集め統計分析を行いました。その結果、特定のスキルや経験を持つ応募者が、入職後も長く活躍する傾向が強いことが判明。これに基づき、採用基準を再設定したことで、離職率が大幅に改善されました。

このように統計学やデータサイエンスは、看護師や採用担当者にとって欠かせないツールとなりつつあります。次回以降のコラムでは、さらに詳細なデータ分析の手法や、具体的な分析のステップを解説していきます。興味のある方は、ぜひお楽しみに!

ポイント

  1. 数値と割合をセットで考える:応募者の数だけでなく、その内訳や成功率を常に意識しましょう。
  2. 目的と変数の明確化:採用成功のために、どの変数が最も影響を与えているかを分析してみましょう。

 

統計学 実践編 看護師 訪問看護 理学療法士


数字に騙されないために!看護師の採用と現場における「数」と「率」の重要性

採用活動や現場業務で優秀な人材を選び、適切なケアを提供するためには、数字を正確に理解し活用することが欠かせません。特に、採用担当者や看護師の皆さんには、「数」と「率」をしっかりとセットで考える習慣を身につけていただきたいと思います。この「数」と「率」の関係性を理解することで、より正確な判断ができ、業務効率の向上や採用成功へとつながります。

数字に惑わされるリスク

たとえば、「100%成功率の施術」があると聞けば、誰もが「すごい!」と思うかもしれません。しかし、その成功率の背景にある「母数」が重要です。もしその施術がたった1件だけ行われて、それがたまたま成功しただけであれば、その100%は過信できません。

このように、数字だけに惑わされず、背後にある「数」と「率」の関係性を把握することが重要です。では、看護師や採用の場面での具体的な例をいくつか見てみましょう。

看護師の施術成功率:数と率の違い

例えば、ある看護師が「利用者の満足率100%」と評価されたとします。一見完璧に思えるこの数字ですが、その看護師が実際に対応した利用者が1人だけで、その1人が満足しただけであれば、果たしてこの看護師を信頼するべきでしょうか?もしも2人目の利用者が訪問看護サービスに納得できなければ、この満足率は50%になってしまいますよね?2人のうち1人しか満足してくれなかったという事なので…

一方、別の看護師が満足率が95%だとしても、もしも100人以上の患者を担当している場合は、95%の満足度は非常に高い信頼性を持つ数字になります。つまり、数字を見る際には、その背景にある「母数」を理解することが不可欠です。母数が多ければ多いほど数字というのは信頼性がましてくるので、率だけにとらわれないように注意しておきましょう。

採用活動における「数」と「率」の重要性

採用においても同じことが言えます。
「採用成功率90%」という数字を見た時に、それが10人中9人を採用した結果なのか、100人中90人を採用した結果なのかでは大きく意味が変わってきます。母数が大きくなればなるほど、その成功率は信頼に足るものとなりますし、逆に母数が小さい場合、数字に過度な信頼を寄せるのは危険です。

採用活動と看護業務における「数」と「率」の具体的な活用法

では、これを採用活動にどう活かせば良いでしょうか?
例えば、応募者の数を単に多いと評価するだけでなく、その中から実際に採用に至った人の割合、さらに採用後の定着率も見ていくことで、採用プロセス全体の効率や成功度が評価できます。

具体的には、応募者100名の中から10名を採用した場合の採用率は10%(10名/100名)です。しかし、その10名のうち5名が短期間で退職してしまったとしたら、最終的な定着率は5%(5名/100名)にまで下がってしまいます。このように、採用活動では「応募者数」だけでなく、「採用率」や「定着率」という複数の指標をセットで見ることが成功への鍵です。

採用と業務改善に役立つデータサイエンスのポイント

「数」と「率」を正しく理解し、データサイエンスを活用することで、より効率的で効果的な採用や業務改善が可能になります。例えば、応募者のデータをセグメントごとに分類し、どの要素が採用成功に寄与しているかを分析することで、より正確な採用戦略を立てることができます。

また、業務改善の際には、患者のケアにかかる時間や満足度、さらにはミスの発生率などを数値化し、それを「数」と「率」で分析することで、現場の問題点を浮き彫りにし、改善策を具体的に提案することができます。

ポイント

  1. 数と率はセットで見る:採用や業務効率を考える際、率だけでなくその背後にある母数を常に意識しましょう。
  2. データを細分化して分析する:応募者データや業務データをセグメントごとに分けて考えることで、成功の要因や課題が見えてきます。
  3. 統計学を活かす:採用や業務改善において、統計的なアプローチを活用することで、数字に基づいた確実な判断ができるようになります。

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データ分析における目的と変数を明確にする重要性 ~看護師採用での成功例~

データ分析や統計学を活用して採用活動を成功させるためには、まず分析の目的その目的を達成するための変数を明確にすることが不可欠です。特に、看護師の採用においては、しっかりとした目的設定とその目的に対する要素を見極めることが、成功の鍵となります。

データ分析のスタート地点:目的と変数を決める

データ分析を始める際、最も重要なステップは以下の2つです。

  1. 分析の目的を明確にする(=目的変数)
  2. 目的を達成するために影響する要素を特定する(=説明変数)

ここで言う「目的変数」と「説明変数」は、データ分析や統計学で非常に重要な考え方です。目的変数は分析の最終目標を示し、説明変数はその目標にどのような要素が影響を与えるのかを示します。

目的変数と説明変数の具体例

まず、目的変数とは、分析のゴールとなるものです。たとえば、看護師/理学療法士の採用を考えた場合、次のような目的が一般的には想定できます。

  • 「看護師の入職率を向上させる」
  • 「離職率を下げる」

次に、これらの目的を達成するために、どのような要素が関係しているのかを考えます。これが説明変数です。たとえば、看護師の入職率を向上させるためには以下の要素が説明変数となります。

  • 資格や経験の種類
  • 面接評価
  • 給与水準や福利厚生
  • 勤務地や勤務条件

これらの要素が入職率にどのような影響を与えるかを分析することで、より効果的な採用戦略が立てられるようになります。

具体例で考える「採用の最大化」

では、より具体的にデータ分析の手法を見ていきましょう。たとえば、**目的を「入職数の最大化」**に設定した場合、目的変数は「入職数」です。この入職数(目的変数Y)に対して、どのような要素(説明変数)が影響しているかを考えます。ここで使用できる方程式は以下のように表現されます。

入職数(Y)=a×面接評価+b×資格+c×経験年数

このように、**目的変数(Y)**に対して、説明変数として「面接評価」「資格」「経験年数」などを組み合わせ、重回帰分析などの手法を用いて数値化することができます。この方法を使えば、どの要素が入職数に最も大きく影響しているのかが明確になります。

看護師採用におけるデータ分析の具体例

看護師の採用で考えてみましょう。例えば、**「看護師の資格が入職率にどう影響するか」**を調べたいとします。この場合、**目的変数(Y)**は「入職率」です。次に、説明変数として「資格」「面接評価」「勤務地」などを設定します。

入職率(Y)=a×資格+b×勤務地+c×面接評価

このような形で分析を進めることで、どの変数が最も入職に寄与しているのかが明らかになり、効果的な採用戦略を立てることができます。

分析の目的を見失わないために

データ分析を行う際、最も注意すべきことは、「目的を見失わないこと」です。多くの場合、データを扱っているうちに、目的が曖昧になってしまい、「ただの作業」に陥りがちです。そうならないためにも、常に「何のためにこのデータを分析しているのか?」という目的意識を持って作業に取り組むことが重要です。

たとえば、採用活動においては、**「看護師の入職数を最大化する」**という明確なゴールを持ち、そのために必要なデータ(説明変数)をしっかりと集め、分析することが必要です。

データ分析で成功するためには、**「目的変数」「説明変数」**を正しく設定することが鍵となります。

  • 目的変数(Y):分析の目標(例:入職数、離職率、満足度)
  • 説明変数(X):その目標に影響を与える要素(例:面接評価、資格、経験、勤務条件)

データ分析や統計学はツールであり、使う人が目的をしっかりと設定していないと、無意味な結果に終わってしまうことがあります。目的と変数を明確にすることで、より効果的な採用戦略や業務改善が実現できるようになります。

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採用プロセスを最大化するためのデータ分析の基本 ~入職数を増やす方程式~

採用活動を成功させるためには、データ分析を活用し、プロセス全体を最適化することが非常に重要です。ここでは、少し数学的な視点を取り入れながら、入職数の最大化に向けたデータ分析の基本を、具体例とともにわかりやすく解説していきます。

目的変数と説明変数を理解する

では復習していきましょう。データ分析を始める前に、最も重要なステップが目的変数説明変数を明確にすることでしたね。

  • 目的変数(Y):分析の目的となるもの。例えば、入職数です。
  • 説明変数:その目的に影響を与える要素。例えば、面接評価や資格、経験年数など。

ここで、入職数の最大化を目指す場合、「入職数」を目的変数(Y)とし、さまざまな要素(説明変数)を使って方程式を立てることができます。

 

採用プロセスを分解してみる

次に、採用活動全体をプロセスに分解してみましょう。一般的な採用の流れは、次のような段階(フェイズ)に分けられます。下記項目も数字として記録しておくと分析をする時に思わぬ課題発見ができる可能性があります。耳の痛い話で言えば、採用担当者が誰かによって内諾率が変わることはよくあることです。つまり誰が面接をするかによって、求職者にしっかりと興味をもたすことができているかいないかが大きく変わってしまうのです。

  1. 登録や問い合わせの取得(個人情報の獲得)
  2. 面談や見学会への誘致
  3. 一次面接(対応者)
  4. 最終面接(対応者)
  5. 内定の提示
  6. 内諾
  7. 入社前のキャンセル
  8. 実際に入職

この流れの各フェイズが、説明変数の一部となります。つまり、**「個人情報の獲得から入職まで」**の各フェイズが、入職に影響を与える要素(説明変数)となり、これらの要素を分析して改善することが、入職数の最大化につながります。

簡単な数式で考える:入職数と入職率

それでは、具体的な例を使って計算してみましょう。まず、個人情報の獲得数入職者数を元に、入職までの展開率を求めます。

  1. 個人情報の獲得数:1000名
  2. 実際の入職者数:100名

この場合、入職率は以下のように計算されます。

入職率=(入職者数/個人情報数)×100=10%

つまり、入職率は10%という結果が得られました。これは全く問題ないでしょう。それでは次にいきます。

今期の目標を達成するための具体的な計算

例えば、今期の採用目標が20名だと仮定します。この場合、何名の個人情報を獲得する必要があるでしょうか? 入職率が10%だとわかっているので、次の式を使います。

入職率=(入職者数/個人情報数)×100に数値を入れていきましょう。
入職率=10%
入職者数(採用目標)=20名
これを式につっこんでみましょう。すると下記の数字になりますよね。

10%=(20名/個人情報数)×100

つまりこれらを計算すると200名の個人情報を獲得すれば、過去のデータに基づいて20名の採用目標を達成できるということがわかります。このように、具体的な数値をもとに採用戦略を立てることで、目標に向けた現実的なアクションプランを立てることが可能になります。

訪問看護ステーションで採用をするときは、現状の人数にもよりますが7名の看護師/理学療法士がいることが損益分岐点と考えられています。現状の看護師/理学療法士が4名体制であれば、3名採用しなければ黒字運営が難しい可能性があるのです。ではその3名を採用するためには、何名と面接する必要があるのか?を過去のデータから照らし合わせると良いでしょう。もしも初めての採用になるのであれば、30%前後の入職率が一般的です。つまり3名ー4名に1人くらいは採用できるイメージです。

しかし大量採用をする病院や訪問看護ステーションでは大型の説明会を開くケースもあります。このようなケースでは入職率は10%前後で推移するイメージがあります。

面接してもそんなに採用できないのですか!?と感じるかもしれませんが、看護師/理学療法士のような専門職の採用は競合も多く思ったような面接にならないことは事前に理解しておく必要があります。

各フェイズでの課題を発見しよう

ここまでで、入職数の予測や目標達成に必要な個人情報数を計算できるようになりました。しかし、これだけでは十分ではありません。各フェイズでどの部分に課題があるかを発見することが、さらに重要です。

例えば、次のような質問を考えてみましょう。

  • 面談から一次面接への移行率はどうか?
  • 内定提示後の内諾率は高いか?
  • 入社前キャンセル率はどうか?

各フェイズでの課題を明確にすることで、どの部分に改善が必要かが見えてきます。これにより、採用プロセス全体を効率化し、入職数をさらに最大化することが可能になります。

実際に行うべき最初のステップ

データ分析の最初のステップは、現状の把握です。具体的には、以下のようなデータを集め、基本的な展開率を計算してみましょう。

  1. 個人情報の獲得数
  2. 実際の入職者数
  3. 入職者数 ÷ 個人情報数 = 展開率(CVR)

これらのデータが揃っていない場合、採用担当者として「危険信号」と捉えてください。データを持っていない状態では、採用活動が「暗闇の中を手探りで進む」のと同じです。しっかりとデータを集め、数値で語れる状態を目指しましょう。

データ分析の目的は、単に数値を出すことではなく、現場で具体的なアクションにつなげることです。数字を出すだけで満足してしまうのではなく、そのデータをもとに、どの部分を改善すべきかを考え、具体的な施策を打ち出すことが大切です。

例えば、「給料が安いから入職しないのでは?」と考えているだけでは不十分です。実際にデータを使って、どのフェイズに課題があるかを分析し、それに応じた改善策を実施する必要があります。


データ分析は、看護師の採用活動を成功させるために非常に重要なツールです。**目的変数(入職数)と説明変数(面接評価、資格、経験など)**をしっかりと設定し、それらのデータを元に具体的な方程式や展開率を計算することで、採用活動の効率化が可能です。各フェイズでの課題を見つけ、改善策を実行することで、入職数の最大化に向けた現実的なアクションプランを立てることができます。

採用担当者として、数字で語れる状態を目指し、常にデータをもとに判断する習慣をつけましょう。

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