令和2年度診療報酬改定による訪問看護の影響を考えてみる~機能強化加算編~

◇ 令和2年度診療報酬改定の考え方

診療報酬が改定されると日々の行動や経営方法も大きく変わってきます。コロナ禍においてはより医療者に向いた診療報酬改定や法改正の必要性も問われています。こんな状況かだからこそ改めて、診療報酬改定が訪問看護に与える影響を考えてきましょう。厚生労働省の令和2年診療報酬改定のリンクをコチラに張っておきます。

令和2年度(2020年度)診療報酬改定にあたって示された基本的な認識は、下記3点
1:健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた全世代型社会保障の実現
2:どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、意思等の働き方改革の推進
3:社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和

この3点が総論としての基本認識になります。これらに対する基本的視点と具体的解決の方向性に関しては以下の4点と考えられています。

1:(重要課題)医療従事者の負担軽減、意思等の働き方改革の推進
2:患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
3:医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進
4:効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

それではこれら4つの項目をさらに細かく分類されていますので、そちらも確認していきましょう!!

◇ 令和2年度(2020年度)の診療報酬改定における訪問看護に関する改定事項はなんだろう?

 
(1)訪問看護の提供体制の確保
 ①機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】
 ②同一建物居住者に対する複数回・複数名の訪問看護の 見直し【改定】
 ③理学療法士等による訪問看護の見直し【改定】
 ④医療資源の少ない地域における訪問看護の充実【改定】
 ⑤訪問看護・指導体制充実加算の新設【新設】
(2)利用者のニーズへの対応
 ①専門性の高い看護師による同行訪問の充実【改定】
 ②精神障害を有する者への訪問看護の見直し【新設】【改定】
 ③訪問看護における特定保険医療材料の見直し【改定】
(3)関係機関等との連携
 ①小児への訪問看護に係る関係機関の連携強化【改定】
(4)その他
 ①情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進【改定】

厚生労働省の資料を文書化してみると上記のような感じになります。パッと見ると難しそうな言葉が並んでしまっているので抵抗がありますよね。。。厚生労働省の図はとても可愛らしく見やすいイラストになっておりますね☆

診療報酬の改定と言うのは経営に大きくかかわります。訪問看護ステーションだけではなく病院にも同様の事が言えます。経営に関わるという事はどういうことかと言えば、最悪の場合では同じ医療/看護を提供しているにも関わらず、昨年よりも利益が減った。なんてことも可能性としては十分にあり得ます。

そして利益が減るという事は、採用費を確保する事が出来ないので看護師様や理学療法士様を採用するための求人を出すことが出来なくなってしまう可能性があります。求人が出せなかったり、採用費がなくなってしまう事は、成長を止めることになってしまうので結果的には経営悪化を招く可能性がある為に、細かなところまで目を通しておくと思わぬ加算があるかもしれません!!

今回の講義だけですべてを説明しようとしていますと、恐ろしい文字数になってしまうので見やすいように順番に進めていきましょう( `ー´)ノそれでは本日のテーマはまずはココから!!令和2年(2020年度)診療報酬改定による「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】」に関して考えていきましょう!!

◇:機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】

まずは令和2年(2020年度)診療報酬改定による「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】」のスライドを見てみましょう!!


改定前後を比べると、御覧の通りで基準が高くなってしまった・・・と考えるのが普通でしょう。気の強化型訪問看護は以前であれば、単純に常勤看護師の人数だけでよかったのですが、令和2年(2020年度)診療報酬改定による「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】」では「看護職員が6割以上」という条件が加わっています

これにプラスして、重症度の高い利用者の受け入れや、ターミナルケア/重症児の受け入れ実績なども関わってくるために、なかなかもってハードルは高そうな気がしてしまいます。実際に機能強化加算をとれた訪問看護ステーションがどの程度あるのかを見てみましょう!!

少し古いデータになってしまいますが、中医協の資料に数字が掲載されていました。機能強化型訪問看護ステーションの届出状況について、機能強化型1が244事業所、機能強化型2 が246事業所、機能強化型3が58事業所であり、合計で548ステーションになります。日本全国には約11,000ステーションあると言われているので、全ステーションの約5%程度にとどまっていることが挙げられています(平成30年7月時点)
データ出所:中央社会保険医療協議会総会(第434回) 在宅医療(その2)について「総-1」p.18

この数字を多いとみるのか少ないとみるのか・・・これは非常に判断がしにくいですね。一般的に考えるのであれば想定以上に申請が増えたので状況を引き上げたと考えるのがシンプルな所でしょう。

また申請に関しては労働省の意図と異なる申請が増えてしまったが為に、令和2年(2020年度)診療報酬改定により機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】をしたと考える方がシンプルな考え方だと思います。

ではこの意図と異なる部分は何だったのでしょうか?これは昨今、「訪問看護ステーションでありながら、配置スタッフにおける看護師の割合が低く、ほとんどのスタッフを理学療法士等が占めている」事業所の存在が問題視されていました。

こうした訪問看護ステーションの中には「訪問の8割以上を理学療法士等が行っている」ところもあり、これは「事実上の訪問リハビリステーション」と言えますが、医療保険でも介護保険でもその存在は認められていませんでした。

その為に機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】では看護職員の割合を6割以上としたのでしょう。ここに関しては非常に難しい課題だと思います。様々なステーションで話を伺い、利用者様のお話を聞いているとリハスタッフの方に支えられて、感謝している利用者様が多い印象がつよいので、折衷案になるような新たな診療報酬改定になる事を期待したいですね。

看護師様も理学療法士様とチームになり様々な事を学びリハを対応し、理学療法士様も看護師様とチームになり様々な事を学び看護を対応していると感じました。

特にこのコロナ禍においては、看護師だけではなく、理学療法士等含め双方が支えあう事が急務だと感じますし、この姿こそが地域包括ケアシステムのあるべき姿とも感じます。もちろんすべてをOKにしてしまえば社会保障費の問題もあるので議論は重ねながらになると思いますが。

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下記に機能強化型訪問看護ステーションの要件を添付しておきます。次回講義でも引き続き令和2年(2020年度)診療報酬改定による「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し【改定】」について考えてきましょう!!

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