「かんたき」ってどんな施設のこと??

かんたき=看護小規模多機能施設

あなたは「かんたき」という単語をご存知ですか?
かんたきとは「看護小規模多機能施設」という「通い」「泊まり」「訪問看護・リハビリ」「訪問介護」 「ケアプラン」のサービスを一体化して、一人ひとりに合わせた柔軟な支援ができる看護師を中心としたトータルケアの事業所です。
このかんたきのメリットとは、医療ニーズ高い方には看護師が対応し、365日24時間、通いや泊りを顔なじみのスタッフ(看護師や介護士)が対応することができます。また、同じ事業所内のスタッフで関われるので、情報共有も密にでき、利用者さんへのサービスもきめ細やかな対応が可能となります。

このかんたきの施設を利用するためには、利用者さんは介護保険の認定が必要です。介護保険内で、通所、訪問、泊りが定額とされているので、かんたきを最大限に利用する方はお得なサービスだと思います。(施設によっては食事、入浴、レクリエーション代を別途負担がある場合があります)
例えば、要介護認定が同じ人がおり、一人は毎日デイサービスを利用して時々泊りを予定している人と、あとの一人は週1回デイサービスを利用している人がいたとすると、毎月同じ料金がかんたきから請求されます。そう考えると、前者の人の方がお得ですよね。

筆者はこのかんたきの施設に見学に行ったことがあり、その際に目の当たりにした、かんたきスタッフの素晴らしい対応についてお話ししたいと思います。
その施設では、独居でがんの終末期の利用者さん(Aさん)がおり、そのかんたき施設をメインに訪問看護、訪問介護、デイサービスを利用していました。Aさんはがんの末期で本人の希望で治療もしていないため、少しずつ食欲低下、るい痩、がん性疼痛が出現しており、一人で暮らしていくには難しい状況となっていました。そのような中、Aさんは「できるだけ家にいたいけど、だんだん淋しくなってきた」とお話しするようになったそうです。おそらく病状の進行とともに、もっと前から淋しさや辛さはあっただろうけど、我慢強いAさんが口に出すという事は、本当に辛いことだっただろうとかんたきスタッフは話していました。翌日にはかんたきの泊りを利用して、がん性疼痛に対するお薬の調整をして症状がコントロールできたところで再度自宅に帰りました。
筆者はこれまで、急な泊りが必要な利用者さんと沢山出会ってきましたが、翌日には泊りの対応ができるのはかんたきだけではないでしょうか。
かんたきを利用していない場合、まず宿泊ができる施設を探して契約を行わなければなりません。そして、看護師はサマリーを用意しなければならないので、翌日に泊まれる施設はまずありません。最短でも2,3日はかかってしまうのです。
そして、これまでずっと訪問で関わってきた看護師や介護士がAさんに関われることができ、通いで来ている施設にそのまま泊まれるわけですから、Aさんにとって負担は少なかったと思います。
こんな施設がこれからも増えていくといいな……と思いながらも、やはり急な泊りに対応できるように施設側も人員の配置には悩んでいたようです。
念願の家での療養生活をスタートさせた場合でも、やはり利用者さんは不安がつきものです。まして独居や高齢者のみの世帯は尚のこと。医療者である筆者もそうですが、在宅でも数あるサービスを理解して、その家庭に合わせて選択が出来るように情報提供していきたいものです。

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