「精神科訪問看護ってきついの?」
「精神科訪問看護に転職を考えているけど需要はあるの?」
精神科訪問看護は、精神的に不安定な利用者と1対1で関わり続けるため、他の看護領域にはない負担があるため「きつい」という声が挙がっています。
一方で精神科訪問看護を利用する患者さんは、2017年は389.1万人に対して、2023年では576.1万人にまで増加しています。
精神疾患を抱えていながらも、自宅で過ごす患者さまの数が多いため、精神科訪問看護の需要の高さが分かります。
本記事では、精神科訪問看護が「きつい」と言われる理由をはじめ、やりがいを感じる瞬間や、心が折れそうになったときの具体的な対処法について解説します。
実際に仕事を続けていく方や、転職を考えている方は是非参考にしてください。
精神科訪問看護へ転職を考えている方は、 訪問看護ステーションの数が非常に少ないため、転職サイトを活用しましょう。
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精神科訪問看護がきついと言われる理由とは?

精神科訪問看護が「きつい」と言われる理由は、精神的に不安定な利用者との1対1の対応によって、強い孤独感やストレスを抱えやすい点にあります。
また、コミュニケーションの難しさや、訪問環境の劣悪さなど、精神面・環境面での負担が重なりやすいことも大きな要因です。
- コミュニケーションが難しい場面が多い
- 暴言・拒否など精神的不安定な利用者への対応
- 訪問先が不衛生など、環境的なストレス
- 基本1人対応でプレッシャーを感じやすい
- 家族対応に苦労するケースもある
- 看護師としての「変化が見えにくい」ことへの葛藤
ここでは、精神科訪問看護が「きつい」とされる主な理由を具体的に整理していきます。
コミュニケーションが難しい場面が多い
精神科訪問看護では、「会話そのものが看護」と言われるほど、言葉や接し方に高い注意が求められます。
たとえば、声かけ一つや沈黙の受け止め方、視線の合わせ方までが信頼関係の構築に影響します。
信頼関係が縮まらない状態が続くと、看護師は無力感や精神的な疲労を感じやすくなります。
コミュニケーションに神経を集中させ続けることが求められるため、身体的なケアとは異なる負担が蓄積しやすい点が精神科訪問看護の難しさです。
暴言・拒否など精神的不安定な利用者への対応
精神科訪問看護では、利用者の感情が不安定になりやすく、対応には常に緊張感が伴います。
精神状態に波のある利用者と向き合うことは、看護師にとって強い心理的負担となりがちです。
そのため、恐怖を感じる体験や心理的なプレッシャーが積み重なることで、きついと感じてしまう看護師もいます。

問題行動を起こす方は、措置入院などで入院しているケースが大半なので、そこまで危険な患者はいないようです。
参考:Yahoo!知恵袋
訪問先が不衛生など、環境的なストレス
精神科訪問看護では、訪問する家の衛生状態が看護師の精神的負担につながることがあります。
場合によっては、室内に虫が発生していることもあります。
精神症状の影響により、セルフケアや住環境の清潔維持が難しくなっている状況が背景にあるとはいえ、看護師として強い抵抗感を覚える場面もあるでしょう。
不衛生な空間に繰り返し足を運ぶうちに、訪問業務そのものに対してストレスを感じるようになる方もいます。
環境による負担は蓄積しやすく、離職や異動を考えるきっかけとなることもあります。
基本1人対応でプレッシャーを感じやすい
精神科訪問看護では、原則として看護師が1人で利用者の自宅に訪問するため、心理的な孤立感が強まることもあります。
同行者がいないため、利用者の言動にすべて自分ひとりで対応しなければならず、その責任の重さに不安を感じることもあるでしょう。
体調や精神状態に急な変化が起きた場合も、即座に判断して行動する必要があるため、緊張感が常につきまといます。
特に経験の浅い看護師にとっては、自信を持てないまま現場に出向くことが強いプレッシャーとなり、訪問そのものを負担に感じる要因となることがあります。
家族対応に苦労するケースもある
精神科訪問看護では、利用者の居住環境に入る以上、家族との関わりが避けられない場面も多くあります。
看護師にとっては、利用者本人の看護と並行して、家族との関係性にも配慮が必要です。
ご家族からの要望に応えきれなかったときや、対応へのクレームがあると、看護師としての無力感を抱くこともあります。
特に精神疾患への理解が十分でない場合、期待と現実のギャップが摩擦を生む要因になりやすいです。
看護師としての「変化が見えにくい」ことへの葛藤
精神疾患は身体的な病気とは異なり、目に見える変化が少ない点が特徴です。
とくに自宅で過ごす利用者は病状が安定している場合が多く、回復の過程が表面化しにくいため、看護師は自身の関わりが効果を発揮しているのか判断しづらくなります。
「この支援が本当に役に立っているのか」「何か変化があったのか」と迷いを感じる場面もあるでしょう。
日々の訪問で変化を実感できない状況が続くと、やりがいを見失いやすくなり、看護業務そのものがきついと感じられてしまうこともあります。
精神科訪問看護のやりがいとは?


精神科訪問看護のやりがいは、利用者一人ひとりと丁寧に関わり、その人の生活に深く寄り添えられる点です。
また、地域医療の一端を担っているという実感や、変化の少ない中でも確かに続いていく回復の過程を支えられる喜びもあります。
- 利用者と1対1でじっくり向き合える
- 地域医療に貢献している実感がある
- 回復の過程を長期的に見守れる喜び
- 自分のペースで働ける(夜勤なし・日勤中心)
ここでは、精神科訪問看護に携わる中で看護師が感じるやりがいについて具体的に解説していきます。
利用者と1対1でじっくり向き合える
精神科訪問看護の大きな魅力の一つは、利用者と1対1でじっくり関わる時間が確保できる点にあります。
訪問のたびに利用者の生活空間を訪れ、日常の中での変化や小さなサインにも気づきやすくなります。
また、信頼関係を少しずつ積み重ねる中で、表情や態度にわずかな変化が見えたとき、看護師としてのやりがいを実感できるでしょう。
時間的な余裕があるからこそ、関係性に深く踏み込むことができ、精神的な支え手としての役割を果たせるのは、訪問看護ならではの価値です。



症状や背景から症状の悪化や再発予防に努めて、精神的に良くなっているのがわかるのが良いようです。
参考:Yahoo!知恵袋



中には患者さんに厳しいことも言うけど、たくさん話を聞いて、お互い信頼できる関係を築けることがやりがいの方もいらっしゃいます。
参考:X
地域医療に貢献している実感がある
精神科訪問看護は、地域で生活する利用者を継続的に支える役割を担っており、地域医療の中核を担う仕事としての誇りを感じられる場面があります。
また、他職種との連携や地域資源の活用など、看護以外の視点を学ぶ機会にも恵まれます。
訪問先で「来てくれて助かった」「あなたがいて安心できる」といった言葉をもらったとき、自分の仕事が、社会の中で意味を持っていることを実感できるでしょう。
個人支援を超えて、地域全体に貢献している感覚を得られる点は、精神科訪問看護ならではのやりがいです。



看護師さんのおかげで、患者さんが社会復帰できたときはやりがいを強く感じるようです。
参考:Yahoo!知恵袋
回復の過程を長期的に見守れる喜び
精神科訪問看護では、利用者の変化が緩やかである一方、その小さな前進を長期的に見守れるというやりがいがあります。
入院医療のように短期間で劇的な改善が見られるわけではありませんが、日常生活の中で見せるわずかな変化や前向きな言動に気づけたとき、継続的な支援の意味を強く実感できます。
「今日は自分から話しかけてくれた」「笑顔が増えてきた」といった瞬間には、看護師としての関わりが確かに届いていると感じられるでしょう。
そうした関係性を時間をかけて育てていける点に、精神科訪問看護の深いやりがいがあります。
自分のペースで働ける(夜勤なし・日勤中心)
精神科訪問看護は、基本的に日勤帯で業務が組まれており、夜勤が発生しない点が特徴です。
スケジュールは事前に訪問予定が組まれているため、突発的な呼び出しや残業が発生しにくく、看護師自身の生活リズムが安定しやすいです。
時間に追われるという感覚が軽減され、自分のスタイルで看護を実践できる点は、精神科訪問看護ならではの魅力です。



精神科訪問看護は需要が伸びており、転職を勧める声も多く見られます。参考:X
精神科訪問看護が「きつい」と感じたときの対処法と考え方
精神科訪問看護は、人との関係性が中心となる仕事だからこそ、精神的な負担が積み重なりやすい側面があります。
「きつい」と自分の気持ちに気づいたとき、まずは立ち止まって自分の感情を整理し見直すことが大切です。
- 感情を客観的に整理してみる
- 周囲(上司・同僚)に素直に相談してみる
- 心身の回復には意識的なリフレッシュも必要
- 思い切って環境を変えることも選択肢
ここでは、精神的にきつさを感じたときに実践できる対処法や考え方を具体的に紹介します。
感情を客観的に整理してみる
精神科訪問看護の仕事で「きつい」と感じたときは、まず自分の感情を冷静に見つめ直しましょう。
忙しさや人間関係に追われる中では、疲れや不満、焦りといった感情から、何が本当につらいのかが分からなくなることがあります。
何がつらいか分からないときは、以下の方法を試してみましょう。
- 不安やモヤモヤした気持ちをノートやスマホに書き出す
- 「自分は何に対してストレスを感じたか」を具体的に言語化する
- 起きた出来事とその時の感情を時系列で振り返る
- 書き出した内容を「コントロールできるもの」「できないもの」に分けて考える
ノートに思っていることを書き出したり、時間を取って一人で振り返ったりすることで、漠然とした苦しさの正体が明確になる場合があります。
理由がはっきりすれば、ストレスに対する対策も立てやすくなります。
周囲(上司・同僚)に素直に相談してみる
精神科訪問看護の仕事で限界を感じたとき、自分だけで抱え込まずに、上司や同僚に気持ちを伝えることが大切です。
早い段階で共有しておくことで、業務の調整や精神的サポートが受けやすくなります。
周囲に話すことで客観的に状況を整理できることもあり、相談は負担の軽減だけでなく、心のリズムを取り戻すきっかけにもなります。
心身の回復には意識的なリフレッシュも必要
精神的な負担が続くと、気づかないうちに疲労が蓄積し、判断力や対人対応の質にも影響を及ぼすため、定期的にリフレッシュしましょう。
以下のような短時間でも心がほぐれる行動を取り入れるだけで、気持ちに余裕が生まれます。
- 出勤前や退勤後に軽い運動や散歩を取り入れる
- あえてスマートフォンから離れ、静かな環境で過ごす
- 趣味や好きなことに集中する時間を定期的に確保する
- 心が落ち着く場所や景色に触れる習慣を持つ
自分なりのリセット方法を見つけておくことで、気持ちのバランスを保ちやすくなります。
思い切って環境を変える
どれだけ工夫や努力を重ねても、今の職場環境が自分に合っていないと感じる場合は、思い切って環境を変えるという判断も必要です。
我慢を続けることで心身に大きな負担がかかり、燃え尽き症候群や体調不良につながります。
環境を変えて自分を守る選択肢としては、以下があります。
- 別の訪問看護ステーションへ転職する
- 訪問看護から病棟やクリニック勤務に切り替える
- 精神科以外の領域にキャリアチェンジする
複数の道を視野に入れることで、今後の働き方や人生を見つめ直すことができます。
環境との相性は、仕事の継続に大きな影響を与えるため、自分に合った職場を選びましょう。
精神科訪問看護がどうしてもきついときは転職を検討してもいい
努力を重ねても「もう限界かもしれない」と感じるとき、無理をして続けるよりも転職を検討しましょう。
特に精神科訪問看護は専門性が高く、求められるスキルや適性に個人差があります。
自分に合った環境を見つけることで、看護師としてのキャリアを再び前向きに考えられるようになります。
- 同じ訪問看護でも別ステーションで変わることも
- 精神科から一般科へのキャリアチェンジも可能
- 自分の適性や価値観を見直すきっかけに
以下で具体的に解説します。
同じ訪問看護でも別ステーションで変わることも
精神科訪問看護師の現場は、職場が変わるだけで感じ方や働きやすさが大きく改善されることがあります。
たとえば、現在のステーションが急性期対応を多く求められる環境であれば、慢性期中心の職場に移ることで精神的な負担が軽減される可能性があります。
また、上司や同僚との相性も業務の継続に影響するため、人間関係が良好な職場に出会えれば、それだけで働き方が前向きに変わることもあります。
退職を決断する前に、「別の訪問看護ステーションで働く」という選択肢を検討してみるのも一案です。
精神科から一般科へのキャリアチェンジも可能
精神科訪問看護の業務がどうしても自分に合わないと感じた場合、一般科へのキャリアチェンジを視野に入れることもひとつの方法です。
一方で、内科・整形外科・リハビリ系などの訪問看護は、身体的ケアを中心とした業務が多く、看護師の性格や得意分野によっては、負担の感じ方が大きく変わる可能性があります。
実際に、精神科から一般科に移って「業務内容が自分に合っていた」と再確認できたという声もあります。
自分の適性や価値観を見直すきっかけに
精神科訪問看護が「きつい」と感じた経験は、単にネガティブなものではなく、自分自身を見直す貴重な機会になることもあります。
「一対一の関わりが負担だった」「感情面のサポートよりも身体的ケアのほうが得意だった」など、気づいたことを今後の働き方に活かせば、より自分らしく働ける職場を見つけやすくなります。
また、何が合わなかったのかを言語化できるようになれば、次の職場選びでもミスマッチを減らすことが可能です。
まずは一度立ち止まって、自分と向き合う時間を持ちましょう。
まとめ
精神科訪問看護は、専門性が高く人との深い関わりが求められるため、他の分野とは異なる「きつさ」を感じる場面が多くあります。
コミュニケーションの難しさや家庭環境への介入、精神的不安定な利用者への対応など、精神的負担が積み重なりやすいことは事実です。
しかしその一方で、じっくりと利用者と向き合えるやりがいや、地域医療への貢献、長期的な回復を支える喜びなど、他にはない魅力があることもまた事実です。
どうしても限界を感じたときは、無理をせず環境を変えることも一つの選択肢です。
大切なのは、あなた自身の心と身体を守りながら、納得できる働き方を見つけていくことです。