「病棟看護師から訪問看護師になるのは難しい?」
「看護の仕事で夜勤のない働き方に変えたい」
病棟看護師から訪問看護師への転職を検討している方は、こんな疑問を抱いていませんか?
ただ、病棟看護師と訪問看護師の働く環境や役割の違いを理解し、自分の経験や適性を見極めることが重要です。
病棟看護師と訪問看護師には、主に以下の違いがあります。
項目 | 病棟看護師 | 訪問看護師 |
---|---|---|
勤務場所 | 病院(主に病室) | 利用者の自宅や施設 |
勤務形態 | 交代制(夜勤あり) | 日勤中心、オンコール体制あり |
看護の 対象人数 | 複数の患者を同時に受け持つ | 1対1で利用者と向き合う |
業務の進め方 | チームで分担して対応 | 基本的に単独で訪問・判断 |
看護の目的 | 急性期・治療中心 | 慢性期・生活支援中心 |
他職種との 連携範囲 | 院内スタッフ(医師、薬剤師、検査技師など) | 医師、ケアマネ、訪問リハ、行政、家族など広範 |
必要なスキル | 急変対応、処置スキル | 自律的判断、在宅生活の視点、柔軟な対応力 |
メリット | 医療体制が整いサポートが得られやすい | 一人の利用者とじっくり関われる、自由度が高い |
デメリット | 夜勤や急患対応で心身の負担が大きい | 責任が重く、孤立感や判断負担が大きい場合も |
病棟看護師から訪問看護師になった方からは、以下のようなコメントを頂いています。
この記事では、病棟と訪問看護の違いや具体的な仕事内容、転職前に知っておきたいことについて解説します。
病棟看護師から訪問看護師への転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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病棟看護師と訪問看護師の違いとは?

病棟看護師と訪問看護師では、働く環境や役割、求められるスキルに明確な違いがあります。
病棟看護師では、複数の患者を同時に受け持つチーム医療が基本です。
一方、訪問看護では1対1で自宅療養を支える在宅医療となります。
病棟看護師から訪問看護師に転職する場合は、判断力やコミュニケーション、対応力が必要となります。
病棟看護師から訪問看護師に転職を検討する際は、仕事内容や環境の違いを明確に理解し、自分の適性や働き方の希望と照らし合わせて考えることが大切です。
病棟看護師と訪問看護師は看護を行う環境が違う
病棟看護師と訪問看護師は看護を行う環境が違います。
病棟看護師は、医療空間が整備された中で、医師や他スタッフと連携しながらチームで看護を提供します。
一方、訪問看護師は利用者の自宅という生活の場で、一人で判断・対応しながら看護を行う職種です。
- 病棟看護:ナースコールや吸引器、輸液ポンプなど必要な機器がすぐ使える体制が整っている。
- 訪問看護:限られたスペースや設備の中で、利用者の生活動線や家族の事情にも配慮しながら支援。
病棟看護師から訪問看護師に転職する際は「医療の場」から「生活の場」へ看護の視点を切り替えることが重要です。
病棟看護師と訪問看護師は一人の患者と向き合う時間が違う
病棟看護師と訪問看護師は、一人の患者と向き合う時間が違います。
病棟看護師では、一人の看護師が複数の患者を受け持ち、常に優先順位をつけながら動き続けるのが基本です。
一方、訪問看護は患者宅へ訪問して、1回の訪問ごとに30分〜1時間程度をかけてケアを行います。
訪問看護師として、一人ひとりの状態や想いに丁寧に寄り添いたいと感じる方は、訪問看護のスタイルは大きな魅力となります。
病棟看護師と訪問看護師は他職種との連携の範囲が違う
病棟看護師と訪問看護師は、他職種との連携の範囲が違います。
病棟看護師 | 医師・看護師・薬剤師・リハビリ職など、同じ施設内の医療職との連携が中心。 |
---|---|
訪問看護師 | 医師・ケアマネジャー・訪問介護職員・福祉用具専門員・行政など外部との連携が必要。 |
訪問看護とは、主治医が訪問看護の必要を認めた傷病者や要介護者等に対して、訪問看護ステーションや病院・診療所等の看護師等が居宅を訪問し、療養上の世話または必要な診療の補助を行うサービスである。
具体的には、病状等健康状態の観察、重症化予防、療養生活の相談・助言、リハビリテーション、点滴等医療処置、痛みの軽減、服薬管理、緊急時対応、多職種連携など24時間体制で行う。
訪問看護では、書面や電話・ICTツールなどを用いた間接的なやり取りも多く、情報の精度や共有のタイミングに注意が必要です。
病棟と訪問ではチームの構造やコミュニケーションの方法が異なるため、訪問看護では「自ら情報を取りに行く姿勢」と「円滑な連携スキル」がより重要になります。
訪問看護師の仕事内容は在宅生活を支える看護

訪問看護師の仕事内容は、在宅生活を支える看護です。
訪問看護は、病気や障害があっても「自宅で暮らしたい」と願う人々に対して、医療と生活の両面からサポートする専門職となります。
そのため、医療的処置にとどまらず、利用者が住み慣れた自宅で安心して生活を続けられるような支援が必要です。
訪問看護師の業務内容は多岐にわたり、以下のような対応が求められます。
- バイタルチェックや体調管理
- 医療処置(点滴、褥瘡処置など)
- 服薬確認や調整
- 精神的なサポート
- ご家族への助言や介護支援
- 他職種との連携やサービス調整
上記の業務通じて、急変の予防や入院の回避、安心できる看取りの支援まで行います。
ここでは、訪問看護の仕事内容について詳しく解説します。
- 基本的な業務は健康管理・バイタルチェック
- 医療処置や服薬管理を通じて療養生活を支援する
- 身体機能の回復だけでなく精神的ケア・家族支援も担う
基本的な業務は健康管理・バイタルチェック
訪問看護師の基本的な業務は、健康管理・バイタルチェックを行います。
定期的な観察により、体調の変化や病状の悪化をいち早く察知するために早期の異常発見と予防的ケアが極めて重要です。
特に、在宅療養中の高齢者や慢性疾患のある方は、体調が急変しやすいため、コミュニケーション時や日々見ている中で違和感を感じたらすぐに医師に相談するようにしましょう。
訪問時には、血圧・脈拍・体温・SpO2などを測定し、利用者の訴えや食欲、顔色、呼吸状態などと合わせて総合的に判断します。
バイタルチェックは単なる記録業務ではなく、利用者の命と生活を守るための重要な観察・判断業務です。
訪問看護師には、変化に気づく感性と冷静な対応力が求められます。
医療処置や服薬管理を通じて療養生活を支援する
訪問看護師は、医療処置や服薬管理を通じて療養生活を支援します。
訪問看護では定期的に処置や管理を行うことで、入院せずに自宅で生活できる環境を整えた治療ができます。
また、療養生活の支援では、服薬の継続や副作用への対応も、体調管理の要となります。
服薬については、飲み忘れの防止や残薬の確認や副作用への対応を行い、医師や薬剤師と情報共有することも重要です。
訪問看護師の的確な介入によって、患者や利用者の療養生活の質を高めてあげましょう。
身体機能の回復だけでなく精神的ケア・家族支援も担う
訪問看護師は、身体機能の回復だけでなく精神的ケア・家族支援も担います。
在宅療養を続けるなかで、利用者本人だけでなく、支えるご家族にも心理的・身体的な負担がかかるため、精神的ケアや家族への支援も重要な業務の一つです。
とくに、独居高齢者の「社会的孤立」や、長期療養による「うつ状態」など、生活全体に関わる課題に寄り添うことが求められます。
病気は生活の中で進行するため、生活リズムや環境、人間関係などが健康に影響を及ぼす要因となります。
そのため訪問看護師は、医療職でありながら、患者の「生活支援者」としての視点も持ち、社会的・心理的な側面からも支援することが求められるのです。
訪問看護師は一日のスケジュール管理がしやすい

訪問看護師は、一日のスケジュール管理がしやすい職種です。
訪問看護師は、日勤中心かつ自分の訪問スケジュールにある程度裁量があるため、時間管理がしやすい特徴があります。
病棟では突発的な急変対応や勤務交代制によってスケジュールが不規則になりがちです。
しかし、訪問看護ではあらかじめ決められた訪問先と、時間に沿って業務を進められます。
訪問看護師の主な一日の流れは、以下の通りです。
時間帯 | 業務内容 |
---|---|
08:45 〜09:00 | 出勤・朝のミーティング (情報共有、1日の訪問スケジュール確認) |
09:00 〜10:00 | 1件目の訪問 (バイタルチェック・服薬確認・褥瘡処置) |
10:30 〜11:30 | 2件目の訪問 (精神疾患のある利用者の傾聴・生活支援) |
12:00 〜13:00 | 昼食・休憩 (外出先またはステーションにて) |
13:00 〜14:00 | 3件目の訪問 (リハビリ・家族支援・介護相談) |
14:30 〜15:30 | 4件目の訪問 (がん末期の方の緩和ケア) |
16:00 〜17:00 | ステーションへ帰社・記録入力・報告書作成・スタッフ間での情報共有 |
17:15 | 業務終了・退勤 (オンコールがある場合は引き継ぎ) |
訪問看護ステーションによっては、直行直帰やフレックスタイム制度を導入しているところもあり、子育て中でも両立しやすい特徴があります。
日勤中心で夜勤がない働き方ができる
訪問看護師は、日勤中心で夜勤がない働き方ができます。
病棟勤務では夜勤や準夜勤など不規則なシフトによって、睡眠不足や生活習慣の乱れが慢性的に続くケースが少なくありません。
訪問看護では、原則として日中(9時〜17時など)に訪問業務が集中しており、夜勤の負担がなく働くことが可能です。
また、訪問看護ステーションによっては、勤務時間は日勤帯で固定されており、夜間対応が必要な場合も「オンコール制」が採用されています。
オンコールは交代制や希望制にしている事業所も多く、家庭事情に応じて免除可能なケースもあります。
夜勤のない訪問看護は、心身への負担が少なく、長く安定して働き続けたい方にとって魅力的な選択肢です。
直行直帰や柔軟性のある勤務が可能
訪問看護師は、直行直帰や柔軟性のある勤務が可能です。
訪問看護は1日の訪問スケジュールがあらかじめ決まっているため、自己管理が前提となり、時間や働き方に融通が利きやすい仕組みが整っています。
特にICTの導入が進んでいる事業所では、報告や連絡もスマートフォンやタブレットを通じて完結可能です。
時間に縛られない働き方を求める方には、訪問看護の柔軟な勤務体制は大きな魅力です。
訪問看護師は、ワークライフバランスを重視したい方にも、適した職場環境が整っているといえます。
ステーションへの記録・報告業務も重要
訪問看護師は、ステーションへの記録・報告業務も重要となります。
訪問中に得た情報や対応内容は、正確に記録・共有することで、チーム全体での継続的なケアや緊急時の迅速な対応が可能になるからです。
訪問後は、電子カルテや専用ソフトを使って、主に以下の内容を記録します。
- 当日のバイタル
- 処置内容
- 利用者の様子
- 課題や対応など
訪問中は、必要に応じて主治医やケアマネジャーへの報告書や、情報提供書を作成・共有をします。
また、記録は法的にも重要な証拠となるため、訪問中は記録やメモをおこなうことが大切です。
看護の「見える化」を実現するためには、記録・報告業務の質が不可欠となります。
訪問看護師として信頼されるためにも、正確でタイムリーな情報共有を心がけましょう。
病棟看護師から訪問看護師への転職は未経験でも可能
病棟看護師から訪問看護師への転職は、未経験でも可能です。
訪問看護は、在宅での看護業務という点で独自のスキルが求められます。
しかし、病棟で培った基本的な看護技術や急変対応力は、そのまま活かすことが可能です。
事業所によっては、教育体制やOJT制度が整っている場合もあり、不安を抱えたまま一人で訪問することはありません。
訪問看護未経験の場合でも、転職のハードルを感じる必要はなく、適切な環境を選ぶことで安心してキャリアチェンジを実現できます。
- 訪問看護の志望動機では具体的な貢献イメージを示す
- OJTや教育体制が整っている事業所が多い
- 病棟看護の経験が訪問看護で十分に活かせる
以下で詳しく解説します。
訪問看護の志望動機では具体的な貢献イメージを示す
訪問看護への転職を成功させるには、志望動機で「どのように貢献できるか」を具体的に伝えることが重要です。
訪問看護は一人で現場に出る業務であるため、採用担当者は応募者がどのような強みを持ち、在宅ケアにどう活かせるかを重視します。
そのため、訪問看護に対する熱意だけでなく、実践的な視点を持っているかが評価されます。
以下では、訪問看護の志望動機の例文をまとめました。
「急性期病棟で4年間勤務する中で、退院後の生活に不安を抱える患者さんが多いことを痛感しました。
今後は在宅での継続的な看護を通じて、安心して暮らせる地域づくりに貢献したいと考え、訪問看護に強く興味を持ちました。」
「出産を機に夜勤や不規則勤務が難しくなったことから、日勤中心で働ける訪問看護に関心を持ちました。
病棟での経験を活かしながら、地域で暮らす高齢者や慢性疾患のある方の生活支援に貢献したいと考えています。
直行直帰や柔軟な勤務体制も魅力で、家庭との両立を図りながら看護の質を高めていきたいと思います。」
訪問看護の志望動機では、過去の経験と志望動機を結びつけた表現が効果的です。
経験や価値観を言語化することで、採用側に強い印象を残せます。
OJTや教育体制が整っている事業所が多い
訪問看護では、OJTや教育体制が整っている事業所が多いです。
訪問看護は一人で現場を担当するため、「サポートがないと不安」と感じる場合もあります。
しかし、ほとんどの事業所では同行訪問や段階的な研修制度を用意しており、いきなり一人で訪問を任されることは基本的にありません。
OJT は職場内で行われる職業指導手法のひとつで、職場の上司や先輩が部下や後輩に対し具体的な仕事を通じて、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを指導教育することを言う。
たとえば、訪問看護ステーションによっては、入職後2週間~1か月程度は先輩看護師による同行訪問を実施し、業務の流れや判断基準を丁寧に指導しています。
未経験で訪問看護への転職を検討する場合でも、教育体制が充実している事業所を選ぶことで、自信を持って訪問看護のキャリアを築くことができます。
「訪問看護、はじめてでも大丈夫。」
経験よりも、あなたの想いや姿勢が大切です。
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病棟看護の経験が訪問看護で十分に活かせる
病棟での看護経験は、訪問看護においても十分に活かすことが可能です。
病棟では「急変対応・複数患者の観察・処置の優先順位づけ」など、臨床判断力と実践的なスキルが求められます。
これらのスキルは、訪問看護における限られた時間での判断や、対応に直結する能力です。
なお、病棟看護の経験がある場合は、強みとして評価される場面が多くあります。
未経験の場合でも病棟での看護経験は、十分に訪問看護の現場で活かすことが可能です。
訪問看護師のメリットはライフスタイルの改善につながる

訪問看護師のメリットは、ライフスタイルの改善につながります。
訪問看護は基本的に日勤中心で、シフトの融通が利きやすく、直行直帰や時間調整が可能な事業所も多数存在するからです。
また、残業が比較的少なく、夜勤による生活リズムの乱れもありません。
訪問看護は、仕事と私生活を両立して働きたいと考える方にとって、非常に魅力的な選択肢です。
以下では、訪問看護師のメリットについて解説します。
- 夜勤がなく心身の負担が軽減される
- 仕事と家庭の両立がしやすくなる
- 利用者との深い関係性を築けるやりがい
夜勤がなく心身の負担が軽減される
訪問看護は、基本的に日勤のみの勤務形態であるため、夜勤による身体的・精神的負担を大幅に軽減できます。
夜勤は生活リズムを崩しやすく、睡眠不足や自律神経の乱れ、慢性的な疲労の原因になることも少なくありません。
特に、年齢を重ねた看護師や家庭との両立が必要な方にとって、夜勤は継続が難しい勤務形態のひとつです。
その点、訪問看護は定時勤務が中心で、体調管理がしやすく、心身の安定を保ちながら長く働ける職種として注目されています。
実際に、夜勤から解放されたことで「ようやく自分らしい働き方ができた」と感じる看護師も多くいます。
看護を長く続けたい方やライフスタイルを整えたい方にとって、訪問看護は理想的な働き方といえるでしょう。
仕事と家庭の両立がしやすくなる
訪問看護は、仕事と家庭の両立がしやすい職場環境を実現できます。
訪問看護の業務は、日中勤務・柔軟なスケジュール・残業の少なさといった働き方ができるからです。
病棟勤務では夜勤・交代制・突発的な残業が発生しやすく、家事や育児との両立に悩むかと思います。
一方、訪問看護では勤務時間が比較的安定しているため、就業時間に合わせた生活設計がしやすいです。
事業所によっては、融通が利く場合もあるので確認してみましょう。

「保育園の送迎に間に合う勤務時間に調整してもらえた」
「子どもの習い事のある日は訪問件数を少なくしてもらえた」
なども声も頂いているようです。
利用者との深い関係性を築けるやりがい
訪問看護では、利用者一人ひとりと継続的かつ密接に関わることができ、信頼関係を築ける点にやりがいがあります。
病棟では複数の患者を担当し、日々の入退院により関係性が短期間で途切れがちです。
これに対し訪問看護は、同じ利用者に定期的に関わるため、生活背景や性格を深く理解しながら看護を提供できます。
訪問看護は、単なる医療行為ではなく、人間関係に基づく看護が実践できる現場です。
訪問看護は、人と深い関係性を築きたい方にとって、やりがいを感じられる職種といえます。
訪問看護師のデメリットは責任の重さと環境の厳しさ


訪問看護師のデメリットは、自分で判断し対応する場面が多く、責任の重さと働く環境の厳しさが挙げられます。
訪問先では、病棟と異なり緊急時の対応も、自身の判断力が必要になるからです。
また、訪問看護師は、以下の点においても身体的な負担につながる場合があります。
- 移動時間の多さ
- 季節・天候の影響
- オンコールの負担
訪問看護はやりがいがある分、自己判断と外部環境への適応力が求められます。
訪問看護への転職前は、デメリットを理解し、自分に合った働き方や支援体制の整った事業所を選びましょう。
訪問先では一人で判断する場面が多数ある
訪問看護では、看護師が単独で訪問するため、一人で判断する場面が多数あります。
たとえば、訪問中に利用者の血圧が普段より著しく上昇していた場合、まずは看護師が状況を観察し、薬の内服状況や症状の確認が必要です。
その上で、主治医に連絡し指示を待つ場合や、救急搬送を判断する能力が求められます。
特に医療施設内における場合と異なり利用者の家庭において単独で行う事に十分留意するとともに、慎重な状況判断等が要求される点を踏まえ、主治医と密接かつ適切な連携を図る必要がある。
訪問先では、判断の遅れが利用者の状態に大きく影響することもあるため、常に冷静かつ迅速な対応が求められます。
不安を感じる方は、初期研修や相談体制が整っている事業所を選ぶことで安心して業務に臨みましょう。
移動やオンコールに負担を感じることもある
訪問看護では、移動時間やオンコール対応が業務に含まれるため、身体的・精神的な負担を感じることもあります。
訪問看護師は、利用者の自宅を1日4~6件訪問するため、車や自転車で長時間の移動が必要です。
天候や地理的条件によっては、疲労が蓄積しやすくなったりオンコールに負担を感じることもあるでしょう。
厚生労働省の参考資料では、オンコール当番の心理的・身体的負担の軽減等の効果が得られた事例がまとめられています。
定期訪問により、夜間の電話対応のみで利用者が安心し、緊急訪問が不要になる利用者もおり、月当たりの緊急訪問件数は転倒時等の1~2件に減少。
厚生労働省の資料からもあるように、緊急訪問の件数は少なくなってきているため、負担自体は少ないです。
転職時には、自分の体力やライフスタイルに合った訪問エリアや、オンコール体制を確認しておきましょう。
報告書作成などの事務業務も求められる
訪問看護では、看護業務に加えて記録や報告書の作成といった事務作業も、重要な業務の一部とされています。
訪問中に得た情報や提供したケアは、正確に記録し、チーム内で共有することが求められるためです。
とくに、報告書や情報提供書は、医師・ケアマネジャー・ご家族との連携を支える重要なツールであり、法的にも保管義務があるため、内容の正確性と記録の質が問われます。
訪問看護師への転職はキャリアアップの選択肢として有効
訪問看護師への転職は、キャリアアップの選択肢として有効です。
訪問看護師は、臨床スキルだけでなく、地域連携力・判断力・マネジメント力を磨けます。
日本看護協会によると、訪問看護認定看護師や在宅看護専門看護師のニーズも年々高まっています。
高齢・多死社会を迎える中、医療・介護の複合ニーズを抱える介護保険利用者が急増しています。地域での在宅療養を最期まで支えるためには、訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護(看多機)、介護施設などの看護サービスの整備・拡充が必要です。
訪問看護師での経験は、将来的には管理職や教育担当、認定看護師などキャリアアップの選択肢として有効です。
- 地域包括ケア時代に求められるスキルが身につく
- 管理職や教育担当などの将来キャリアも描ける
- 専門性を深めながら働き続けられる環境がある
地域包括ケア時代に求められるスキルが身につく
訪問看護師として働くことで、地域包括ケアに対応できる看護師としてのスキルが身に付きます。
高齢化が進む日本では、病院中心の医療から地域で支える医療・介護への移行が進んでいます。
地域包括ケアって、どんなもの?
ひと言でいえば、「地域包括ケア」とは、「医療や介護が必要な状態になっても、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される」という考え方です。
訪問看護は地域包括ケアの中心的な役割を担っており、医療職としての判断力と同時に、以下のような視点が求められます。
- 地域資源の活用力
- 多職種連携
- 家族支援など
「地域で支える看護力」は、訪問看護でこそスキルを磨けます。
将来にわたって活躍できる看護師を目指すなら、地域包括ケアの実践現場である訪問看護は最適な選択肢です。
管理職や教育担当などの将来キャリアも描ける
訪問看護師としての経験は、管理職や教育担当など、将来キャリアも描くことが可能です。
訪問看護では、現場での実践だけでなく、ステーション運営や新人指導、地域連携の窓口業務など、幅広い役割を担う機会があります。
これによって、マネジメントや教育のスキルも自然と磨くことが可能です。
訪問看護は、現場にとどまらず「人を育てる・組織を支える」キャリアにもつながります。
訪問看護師は、長期的に専門性を高めたい方にとって、有望なキャリアパスのひとつです。
専門性を深めながら働き続けられる環境がある
訪問看護の現場では、実践を通じて専門性を高めながら、働き続けられる環境が整っています。
訪問看護は「がん終末期・小児・精神・難病・認知症」など幅広い対象に関わる機会があり、それぞれの分野での専門知識や技術を実務の中で深めることが可能です。
また、フルタイム・時短・パートなど柔軟な雇用形態を選べる職場も多く、家庭や年齢に合わせて働き方を調整できます。
訪問看護は、専門性を追求しながら無理なくキャリアを続けたい方に最適な職種です。
病棟看護師と訪問看護師に関するFAQ
ここまで、病棟看護師と訪問看護師について解説してきました。
以下では、病棟看護師と訪問看護師に関する質問と回答を紹介します。
- 訪問看護が潰れる理由は何ですか?
- 病棟看護師は何歳まで働けますか?
- 看護師にとって1番しんどい時期はいつですか?
- 看護師が患者に言ってはいけない言葉はありますか?
- 看護師は患者さんからお礼をもらってもいいですか?
訪問看護が潰れる理由は何ですか?
訪問看護ステーションが閉鎖・撤退する主な理由は、人手不足・利用者確保の困難・経営の不安定さです。
訪問看護は専門職の採用が難しく、看護師不足や退職によって訪問件数が減少すると収益が悪化します。
また、医師やケアマネとの関係構築がうまくいかない場合、新規利用者の獲得が難しくなり、経営が立ち行かなくなるケースもあります。
訪問看護へ就職・転職を検討する際は「継続年数・利用者数・職員数・支援体制」を事前に確認しましょう。
病棟看護師は何歳まで働けますか?
病棟看護師は、法的に定められた年齢制限はありません。
ただ、夜勤や体力的な負担を考慮し、50代後半~60歳前後で働き方を見直す傾向が多いです。
病棟勤務は夜勤・長時間立ち仕事・急変対応など身体的負担が大きく、加齢に伴って継続が難しくなることがあります。
そのため、年齢と体力に応じて外来や訪問看護、保健師業務などに転向する看護師が増えています。
無理なく長く働くためには、体調や生活状況と相談しながら調整することが大切です。
看護師にとって1番しんどい時期はいつですか?
多くの看護師は「1年目の最初の半年」と「3年目の責任が増す時期」にしんどいと感じる傾向にあります。
1年目は、業務に慣れる前に緊張感や失敗への不安が重なり、心身ともに消耗しやすい時期です。
さらに3年目頃になると、後輩指導やリーダー業務など新たな責任が増え、プレッシャーを感じる場合があります。
「しんどい時期」は、どの職場にも訪れるといえます。
しんどい時期を乗り越えるためには、先輩からのアドバイスや自分に合った職場環境を意識して選ぶことが、重要です。
看護師が患者に言ってはいけない言葉はありますか?
看護師が患者に言ってはいけない言葉は、患者の尊厳や不安感に配慮しない発言、専門用語の多用、否定的な表現などは避けるべきです。
看護師の一言は、患者にとって大きな安心にも、逆に傷にもなります。
意図せず言ってしまった言葉が、患者の不信感やストレスにつながることもあり、コミュニケーション技術が求められます。
たとえば、患者へ不快感を与えないように、以下の言葉使いに配慮する場合があります。
配慮するべき言葉遣い | 理由 |
---|---|
・頑張って | 頑張ることを強要されているように感じたり、プレッシャーに感じたりする場合があります。 状況によっては「応援しています」などの言葉に言い換えましょう。 |
・ちょっと待って ・後で | 患者を待たせているという状況を理解させ、不安にさせる可能性があります。 具体的な時間を示すか、状況を説明する心がけが必要です。 |
・だと思います | 患者の質問に対して、断言を避ける回答は、不安を煽る可能性があります。 可能な限り、正確な情報を伝えるように心がけが必要です。 |
・〇〇さんの担当は〇〇です | 担当看護師を固定化するような表現は、患者の選択肢を狭める可能性があります。 患者に寄り添って、柔軟に対応することが大切です。 |
患者との信頼関係を築くためには、日々の言葉選びが重要です。
安心感を与える声かけを心がけ、看護の本質である「寄り添い」を忘れないようにしましょう。
看護師は患者さんからお礼をもらってもいいですか?
看護師は基本的に、金銭や高額な贈り物を受け取ることは禁止されています。
看護師は職務上、公平性と倫理観が求められる立場にあるため、患者との金品のやり取りはトラブルや誤解を招く恐れがあるからです。
ただ、感謝の気持ちとしての手紙やお菓子などは、状況によって判断されます。
感謝の気持ちはありがたく受け止めつつ、物品の受け取りには慎重な対応が必要です。
迷ったときは職場のルールに従い、上司や同僚に相談しましょう。
まとめ
この記事では、病棟看護師から訪問看護師に関して以下の内容で、解説してきました。
- 病棟と訪問看護の違い
- 訪問看護師の仕事内容
- 働き方のメリット
- 注意点(自己判断・移動負担・事務作業)
- キャリアアップの可能性
- 未経験からの転職方法
病棟看護師から訪問看護師への転職は、決して難しいことではありません。
ただ、訪問看護師への転職を検討している方は、違いを理解し、自分に合った働き方を見極めることが重要です。
訪問看護師は「もっと利用者と深く関わる看護がしたい」「家庭と仕事を両立したい」「これからの時代に合った看護を学びたい」と感じている方にとって、やりがいのある職種といえます。
転職を検討している方は、まず見学や情報収集から始め、自分に合った職場を見つけましょう。