訪問看護を辞める理由の本音と悩んでいる時の対処法を元訪問看護師が解説！

「訪問看護を辞めたい」「訪問看護の仕事が合わなかった」と悩む方も多いのではないでしょうか？

訪問看護は、看護師として患者と深く向き合えるやりがいのある仕事です。

しかしその一方で、責任の重さや業務負担の大きさから「辞めたい」と感じる人も少なくありません。

特に離職率が15％前後といわれる訪問看護業界では、辞める理由には共通する本音や悩みが隠れています。

本記事では、訪問看護師が抱える退職理由や、悩んだときの対処法について詳しく解説します。

また、転職を成功させるためのポイントや、訪問看護師として続けるための方法も紹介します。

今のあなたの状況と照らし合わせながら読んでみてください。

「確かに」と感じることがあるなら転職をした方が良い可能性も高いです。

厚生労働省の調査によると、病院勤務の看護師の離職率は約11〜13％とされています。

訪問看護では、一人で行う訪問業務やオンコール対応が加わるため、ストレスや負担を感じやすいことが影響していると考えられます。

ただし、訪問看護ならではの業務特性を考慮すれば、15％は業界内では標準的ともいえる数字です。

重要なのは、離職率をそのまま放置するのではなく、改善に向けた具体的な取り組みを行うことです。

参考：公益財団法人日本看護協会│「2023年 病院看護実態調査」 結果

参考：厚生労働省│訪問看護の伸び悩みに関するデータ

訪問看護師が辞める理由を詳しく解説

訪問看護師が仕事をすぐ辞める理由には、精神的な負担や身体的な疲労、職場環境の問題などさまざまな要因があります。

厚生労働省の調査によると、離職理由の上位は結婚、転居や出産が上位を占める結果となっていますが、その他の精神的面での離職が次点で多くなっています。

ここでは、看護師が辞める代表的な理由を詳しく掘り下げ、どのような点が訪問看護師にとって離職の要因となり得るのかを解説します。

要望やクレームへの対応によるストレス

訪問看護師は、患者本人だけでなく、その家族とも直接的にコミュニケーションを取る機会が多い職種です。

そのため訪問看護師は、家族の要望が過剰であったり、理不尽なクレームを受けることもあり、頻繁にあると看護師自身が精神的に追い詰められることがあります。

例えば、「思うように症状が改善しない」「医療以外の生活面でもサポートを期待される」などの場面では、期待に応えられない自分に対して責任を感じてしまうこともあります。

また、患者の体調や精神状態が良くない場合、訪問看護師が「うざい」と感じられている場合があり、イライラを態度で表されることでストレスを感じてしまう場合も多いです。

そのため精神的ストレスが積み重なると、仕事への意欲を失い、退職を検討する理由の一つになるのです。

訪問看護師でストレスを抱えている方のコメント

一人で訪問する業務形態ならではのプレッシャー

訪問看護の業務は基本的に一人で患者宅を訪れ、判断や対応を行う形態が多いため、孤独感やプレッシャーを感じやすい環境です。

緊急時の対応が必要な場合や、予期せぬトラブルが発生した際に、自分だけで即座に解決しなければならない責任感が重くのしかかります。

また、周囲に相談できる同僚や上司がその場にいない場合、不安をより増幅させることもあります。

そのため、孤独感と責任の重さが重なり、長期的に負担を感じることで、離職に繋がってしまいます。

オンコールや夜勤の業務が多いことでの疲労

訪問看護師の多くはオンコール業務を担っているため、十分な休息が取れず、身体的にも精神的にも疲労が溜まってしまいます。

夜間や休日に緊急の呼び出しがかかることもあり、プライベートの時間でも気が抜けない生活を強いられることがあります。

さらに、頻繁に呼び出される環境では、「いつ呼ばれるかわからない」というストレスが常に付きまとい、生活全般の質が低下してしまうこともあります。

このような状況に耐えられなくなり、退職を選ぶ人も少なくありません。

勤務時間超過しやすいため身体的負荷がかかる

訪問看護では訪問先でのケアに加え、記録作業や次の訪問準備など業務内容が多岐にわたるため、慢性的な疲労を感じるようになり、身体的な不調につながることがあります。

訪問件数が増えると移動時間も長くなり、結果として勤務時間が予定を超過してしまうことが発生します。

特に、移動距離の長い地域や、訪問件数が過密スケジュールで組まれている職場では、この問題がより深刻化する傾向があります。

給与面や待遇への不満

訪問看護師の給与や待遇に関する不満は、歩合制で給与が変動する職場では収入の不安定さが原因となることがあります。

責任の重さや業務の幅広さに比べて、給与が見合っていないと感じる場合が多いです。

さらに、オンコール手当や交通費の支給が十分でない場合、金銭的な不満がモチベーションの低下につながることがあります。

このような状況が改善されない場合、より良い条件の職場を求めて転職を検討することが多くあります。

実際に転職された方の声

患者や家族への期待に沿えないときのやりがいの喪失

患者やその家族から寄せられる期待に対し、思うように応えられなかったと感じると、看護師はやりがいを失うことがあります。

特に、患者の症状が悪化したり、家族から厳しい指摘を受けたりする場面では、「自分の努力が十分ではないのではないか」と感じることが多くなります。

このような経験が続くことで自己肯定感が低下し、結果的に離職のきっかけになることがあります。

スタッフとのコミュニケーションが上手くいかない

訪問看護の職場は、チームで働く環境でありながら、一人ひとりが個別に訪問業務を行うため、他のスタッフと関わる時間が少ない傾向があります。

そのため、情報共有やサポート体制が十分でないと、孤立感を感じやすくなります。

また、職場の人間関係が悪化している場合には、相談しにくい雰囲気が生じ、ストレスが増大する原因になります。

このような状況が続くと、仕事そのものが嫌になり離職や転職を考える要因となるのです。

訪問看護師のスタッフ関するコメント

訪問看護師を辞めたいと悩んでいるときの対処法

訪問看護師として働く中で「辞めたい」と感じることがあるでしょう。

ただし、その気持ちに対してすぐに退職を決断するのではなく、まずは現状を改善するための対処法を試してみることが重要です。

ここでは、辞める前に実践してみるべき対処法を詳しく解説します。

訪問看護師を辞めたくなった原因を明確にする

訪問看護師を辞めたいと感じた場合は、辞めたくなった原因を明確にしましょう。

辞めたくなった原因を明確にしないまま退職すると、次の職場でも同じ問題に直面する可能性があります。

以下は、訪問看護師を辞めたくなった原因の例です。

日本看護協会の調査でも、訪問看護師の退職理由として「責任の重さ」や「相談相手の不足」が挙げられています。

原因を明確にする際は、辞めたい理由を冷静に分析し、改善できる部分とできない部分を分けて考えましょう。

上司や友人など信頼できる人に相談する

訪問看護を辞めたい気持ちがあるときは、一人で抱え込まずに信頼できる上司や友人に相談しましょう。

上司や友人への相談することで、自分では思いつかなかった解決策や、同じ悩みを共有している人に出会えることもあります。

実際、辞めたくなる原因の多くは、業務量の調整や職場環境の改善で解決できることも多いです。

そのため、まずは上司や管理者に現状の課題を具体的に伝え、改善策を提案してみることがおすすめです。

例えば、問い合わせ件数が多すぎる場合はスケジュールの見直しを依頼したり、オンコールの頻度が多い場合にはシフト制の導入を検討してもらうなど、解決可能な提案を行うことが大切です。

また、課題だけを伝えるのではなく、自分なりの解決案を添えることで、職場側も柔軟に対応してくれる可能性が高まります。

現在の訪問看護ステーションで改善を試みる

訪問看護を辞めたいと感じたときこそ、まずは「今の職場で改善できることがないか」を見直してみましょう。

すぐに転職するよりも、環境の工夫や調整によって働きやすくなることも多くあります。

たとえば、以下のような取り組みで状況が改善されることがあります。

改善策	メリット
訪問件数の見直し	過重負担の軽減
研修制度の強化	スキル向上と不安の解消
相談窓口の活用	孤立感の軽減

また、厚生労働省が推進する「医療機関の働き方改革」でも、労働時間の見直しや健康確保の必要性が強調されています。

実際に現場では、一人での訪問件数が多く負担が大きいことがあり、転職を考えていましたが、訪問件数の調整を提案したことで働きやすくなった事例などがあります。

訪問看護師を辞める決断をする前に、現在の訪問看護ステーションで働きやすい環境づくりを周囲に提案してみましょう。

キャリアチェンジや待遇の向上を目指した転職を考える

現在の職場での改善が難しい場合や、働き方そのものを変えたいと感じたら、キャリアチェンジや転職を検討するのも一つの手段です。

訪問看護師の経験を活かして、オンコールがない訪問看護ステーションや、待遇が良い職場への転職を目指すことができます。

また、訪問看護以外の看護分野にキャリアチェンジすることで、新しい働き方を見つけることもできます。

転職を考える際は、まず自分の希望条件（勤務時間・給与・通勤距離など）を明確にし、求人情報を比較検討しましょう。

特に、看護師専門の転職エージェントを活用することで、非公開求人の紹介や条件交渉のサポートが受けられるため、理想の職場に出会えやすいです。

今までのスキルと経験を活かして、もっと自分らしく働ける環境を目指してみましょう。

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訪問看護師が転職を成功させるためのポイント

訪問看護師として転職を成功させるには、自分の希望や課題を明確にし、計画的に活動することが重要です。

転職後のミスマッチを防ぐためにも、以下の3つのポイントを意識して進めると良いでしょう。

自己分析を通じて転職の目的を明確にする

訪問看護師が転職活動で失敗しないためにも、自分が転職を考える理由と転職先に求める条件を整理することが大切です。

例えば、オンコールの頻度を減らしたい、給与や待遇を改善したい、スキルを活かせる新しい分野に挑戦したいなど、具体的な目的を明確にしましょう。

また、訪問看護師の退職理由を面接で話すためにも、自分の得意なスキルやこれまでの経験を振り返り、次の職場でどのように活かせるかを考えることも重要です。

目的が明確になることで、求人情報を選ぶ際の基準が定まり、理想の職場を見つけやすくなります。

理想の職場を見つけるために求人サイトでの情報収集をする

訪問看護に特化した求人サイトや転職エージェントを活用し、理想の職場を探すことが効果的です。

求人票を見る際には、給与や勤務時間だけでなく、訪問件数やオンコールの体制、職場のサポート体制など、具体的な条件をチェックすることが重要です。

また、可能であれば職場見学を行い、スタッフの雰囲気や実際の働き方を確認すると安心です。

さらに、口コミや評判も参考にしながら、自分に合った職場を選びましょう。

焦らず慎重に転職活動を進める

転職は人生における大きな決断ですので、焦らず慎重に進めることが求められます。

転職活動を急ぐと、条件が合わない職場に入職してしまうリスクが高まります。

そのため、複数の求人を比較しながら、自分の希望に最も近い職場を選ぶようにしましょう。

また、専門の転職エージェントを活用することで、非公開求人を紹介してもらえたり、交渉を代行してもらえたりと、効率的に活動を進めることができます。

自分のペースを大切にしながら、転職活動を進めていきましょう。

訪問看護師を今の職場で続けたいときの3つの対処法

訪問看護師として辞めずに今の職場で働き続けるためには、現状の課題に向き合い改善を試みることが重要です。

特に業務負担の軽減や心身のケアを行うことで、職場への満足度を高めることができます。

ここでは、今の職場で前向きに働き続けるための具体的な方法を紹介します。

業務改善のために自分の現状や要望を上司に伝える

職場環境の改善には、問題を明確にし解決策を提案することが必要です。

現状の悩みや負担を具体的に整理したうえで、上司に相談し自分が働きやすくなるための要望を伝えましょう。

例えば、訪問件数の調整やオンコール体制の改善、サポート体制の充実など、具体的な解決案を添えることで、職場側も前向きに対応しやすくなります。

また、過密なスケジュールが原因で身体的・精神的な負担を感じている場合も、上司に相談し業務量を調整してもらえるようにお願いしましょう。

定期的にメンタルケアやリフレッシュできる時間を作る

訪問看護は患者や家族との接触が多く、精神的な負担が大きい職種です。そのため、定期的にリフレッシュする時間を持つことが欠かせません。

休日には趣味や運動を楽しむほか、カウンセリングやマインドフルネスを取り入れることで、ストレスを軽減し、気持ちをリセットすることができます。

自分の健康を優先することで、仕事への意欲を維持しやすくなるでしょう。

これまでの訪問看護を通じて達成できたことを振り返る

これまでの経験や成果を振り返り、自分の仕事の価値を再確認することも効果的です。

患者や家族から感謝されたエピソードや、自分がケアを通じて患者の生活を改善できた場面を思い出すことで、仕事に対するやりがいを取り戻すことができます。

また、達成感を感じられる瞬間を意識的に振り返ることで、モチベーションの向上にもつながります。

訪問看護を辞める理由に関するよくある質問

訪問看護師が抱える悩みや辞める理由について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

疑問を解消することで、自分に合った働き方を見つける助けになるでしょう。

まとめ

訪問看護師として働く中で「辞めたい」と感じるのは、決して特別なことではありません。

しかし、その理由をしっかりと分析し、自分に合った解決策を見つけることで、より良い働き方を実現できます。

転職を考える場合は焦らず準備を進め、情報をしっかり収集して慎重に判断することが大切です。

また、現職での問題が解決可能であれば、それに向けた行動を取ることも重要です。