医療機器認証取得に向けたプロセスと注意点

日本国内で医療機器を販売するためには、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づいた認証取得が必要です。医療機器の認証取得は多段階のプロセスであり、適切な準備と手続きが求められます。以下では、具体的なプロセスと注意点について詳しく説明します。本コンテンツは株式会社brainactzで、実際に医療機器認証取得支援やヘルスケア商材コンサルティングをしている代表取締役であり私が自ら執筆しております。

ここ数年、医療機器なのか雑貨なのか、医療マーケットなのかヘルスケアマーケットなのか?というコンサルティング相談やマーケティングの相談が増えてきております。特に注意すべきはこの機器やアプリケーション等のプログラムは「医療機器/プログラム医療機器」なのか、それとも「雑貨/雑品」なのかです。これは各社の意思決定とは異なり厳密なルールがあるために、自社の判断で「臨床試験に時間もコストもかかるから、この新商品は雑貨で販売しよう!」とはなりません。よっぽど分かりやすく医療機器ではないと断言できれば良いのですが、医療業界とヘルスケア業化の垣根はとても難しく、サービスを上市後に「これは雑貨ではないので、販売停止してください」や「追加の資料提出」なども対岸の火事ではありません。

実際に弊社にご相談いただいた時に「雑貨として進めている。」という案件でも、完全に医療機器の案件もあるため、有識者に相談することや、医療系特化の弁護士に相談する必要があることを冒頭ではお伝えしてきます。

これから医療機器やヘルスケア商材の新規商材を上市しようと考えている企業様の参考になれば幸いです。
また記述はあくまで今現在(2024年7月)の法律等での記載になり、個々の有体物によって考えるべき点やプロセスが変わることはあらかじめご了承ください。

 

医療機器の判断基準

医療機器が医薬品医療機器等法(薬機法)や医師法に該当するかどうかを判断するための基準は、製品の使用目的、機能、リスクレベルなどに基づいています。以下では、医療機器の判断基準と関連法について詳しく説明します。とにもかくにも気にすべき点はまずは下記です。

医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用される こと、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とさ れている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをい
う 」( 薬 機 法 2 条 4 項 )

⇨つまりこれを満たせば「医療機器となる/なってしまう」という点は注意しなければいけます。もう少し分解してみましょう。

1. 使用目的

製品の使用目的が医療機器であるかどうかを判断するための最も重要な基準です。以下のような使用目的を持つ製品は医療機器とみなされます。

  • 疾病の診断、治療、予防
  • 身体機能の補助または維持
  • 生理機能の調整

2. 機能

医療機器は、以下のような機能を持つことが求められます。

  • 生体に作用する物理的・化学的・生物学的な効果
  • 疾病の診断や治療を支援するためのデータの提供
  • 身体機能の補助や維持に寄与する機能

3. リスクレベル

医療機器は、製品のリスクレベルに応じてクラスIからクラスIVまで分類されます。リスクが高い製品ほど厳格な規制が適用されます。リスクレベルは、以下の要素に基づいて評価されます:

  • 生命に対するリスク
  • 使用時の複雑さや専門性
  • 長期間の使用における安全性

 

プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインの要約

また近年ではアプリやAI等による診察判断できるプログラムも増えてきました。それらも同様に医療機器該当する可能性があるよね!つまりプログラムで診察判断できる医療機器ってことだよね!ということでプログラム医療機器も対象になっています。ですので、良かれと思って医療アプリを開発して診察判断してるにも関わらず、承認/認証を取らずに雑貨として上市してしまえば、思わぬリスクになる可能性もあるため要注意です。

そうならないためにも、プログラム医療機器該当性に関するガイドラインを一読することをお勧めします。このガイドラインは、プログラムが医療機器に該当するかどうかを判断するための基本的な考え方と具体的な手順を示しています。医療機器としてのリスク評価や該当性の判断基準を明確にすることで、開発者や事業者が適切に対応できるよう支援しています。詳細はこちらのリンクからご確認ください。

1. はじめに

  • 科学技術の発展により、疾病の診断、治療、予防を目的とする新しいプログラムが増加。
  • 平成25年の法改正により、プログラムも医療機器として規制対象に。

2. 基本的考え方

  • 医療機器プログラムの定義: 疾病の診断、治療、予防を目的とし、患者の生命や健康に影響を与えるプログラム。
  • 規制対象: 疾病診断用、治療用、予防用プログラム。一般医療機器(クラスⅠ)は除外される場合あり。

3. 該当性の判断基準

  • プログラムの使用目的: 疾病の診断、治療、予防に直接関与するものは医療機器と判断。
  • リスクの程度: 患者の生命や健康に影響を与えるリスクがあるかを評価。

4. 医療機器に該当しないプログラム

  • 患者説明用プログラム: 治療方法等を理解させるためのもの。
  • 院内業務支援プログラム: 健康記録の管理、診療予約、会計業務支援など。
  • 患者自身が使用するプログラム: 健康情報の閲覧や管理を目的とするもの。

5. 判断手順

  • 事前準備: プログラムの使用目的、処理方法、使用者を明確にする。
  • 使用目的の確認: 医療機器の定義に該当するかをチェック。
  • リスク評価: 患者への影響を評価し、適切なクラス分類を行う。

6. 臨床研究等における取扱い

  • 研究用プログラム: 一部の臨床研究で使用されるプログラムは規制対象外の場合あり。

7. その他留意事項

  • 誤認防止: 医療機器でないプログラムには、その旨を明記。
  • 適正使用の周知: 使用対象者や使用目的についての十分な説明が必要。

参考通知

  • 規制に関する詳細は厚生労働省の通知を参照。

関連法規

1. 医薬品医療機器等法(薬機法)

概要: 医薬品医療機器等法は、医薬品、医療機器、再生医療等製品の製造、販売、流通、使用に関する規制を定めた法律です。医療機器の定義や分類、認証プロセスなどが規定されています。

関連条文:

  • 第2条: 医療機器の定義と範囲
  • 第39条: 製造販売承認および認証の要件
  • 第40条: 医療機器の品質管理および安全性の確保

2. 医師法

概要: 医師法は、医師の業務および医療提供の基準を定める法律です。医療機器の使用に関する規定も含まれており、医師が使用する機器の安全性や適正使用が求められます。

関連条文:

  • 第17条: 医師の業務範囲
  • 第21条: 医師の責務と医療機器の使用に関する規定

3. 医療機器法規制ガイドライン

概要: 厚生労働省が発行する医療機器に関するガイドラインです。医療機器の認証、試験、品質管理に関する具体的な指針が示されています。

関連ガイドライン:

  • 医療機器認証ガイドライン
  • 医療機器品質管理システム(QMS)ガイドライン

医療機器に該当するかどうかの具体的な判断手順

  1. 使用目的の確認:
    • 製品のカタログ、マニュアル、広告などから使用目的を確認します。
    • 医療目的が明記されている場合は医療機器の可能性が高いです。
  2. 機能の確認:
    • 製品の技術仕様書や設計書から機能を確認します。
    • 疾病の診断、治療、予防に直接関与する機能があるかどうかを評価します。
  3. リスクレベルの評価:
    • 製品の使用方法、使用環境、ユーザー(医療従事者か一般消費者か)を考慮し、リスクレベルを評価します。
    • リスクが高い場合はより厳格な規制が適用されるため、詳細な評価が必要です。
  4. 法規制の適用:
    • 薬機法の該当条文を確認し、製品が医療機器として定義されているかどうかを確認します。
    • 必要に応じて医師法や関連ガイドラインを参照し、適正な使用と規制への適合性を確認します。

医療機器と雑貨のメリット・デメリット

医療機器と雑貨は、その使用目的や規制の違いから多くの特徴があります。特に保険適用の観点も考慮し、両者のメリットとデメリットを詳しく解説します。


医療機器

メリット

  1. 安全性と効果の保証
    • 厳格な規制に基づいて設計・製造されるため、安全性と効果が保証されています。
    • 臨床試験や性能試験を経て認証されるため、信頼性が高いです。
  2. 保険適用の可能性
    • 多くの医療機器は健康保険の適用対象となり、患者の経済的負担を軽減できます。
    • 保険適用により、必要な治療や診断を安価に受けることができます。
  3. 専門的な使用
    • 医療機関や専門家によって使用されることが多く、正確な診断や治療が期待できます。
    • 専門的なトレーニングやマニュアルが提供されるため、適切な使用が保証されます。

デメリット

  1. 高コスト
    • 開発、試験、認証にかかるコストが高いため、製品価格が高くなることがあります。
    • 保守やメンテナンスにも専門的な知識や機器が必要で、追加費用がかかることがあります。
  2. 長い開発期間
    • 規制要件を満たすために、開発から市場投入までに時間がかかることがあります。
    • 臨床試験や認証プロセスが長期間を要するため、新製品の導入が遅れることがあります。
  3. 複雑な規制対応
    • 各国の規制要件が異なるため、複数の市場に投入する際にはそれぞれの規制に対応する必要があります。
    • 規制の変更に対する対応も必要となり、迅速な市場対応が難しい場合があります。

医療機器に関してはやはり信頼性も高く、医師からの信頼を勝ち得ることが可能です。一方で臨床試験等の対応やPMDA対応を考えるとプロセスが複雑でありコストも高く、時間がかかることが1番頭を悩ませる点だと言えるでしょう。ただ冒頭でもお伝えした通りですが、コストが高く時間がかかるなら、医療機器ではなく雑貨として、ヘルスケア機器として販売することは、しっかりとしたエビデンスなく上市することは、上市後のトラブルになる可能性もあるので避けてください。


雑貨

メリット

  1. 低コスト
    • 開発や製造コストが比較的低いため、製品価格も低く抑えられることが多いです。
    • 認証や試験にかかる費用が少なく、迅速に市場投入が可能です。
  2. 迅速な市場投入
    • 規制が少ないため、アイデアから製品化までのスピードが速いです。
    • トレンドに合わせた製品を迅速に投入することができ、市場の変化に柔軟に対応できます。
  3. 多様なデザインと用途
    • デザインや用途に自由度が高く、消費者のニーズに応じた多様な製品を提供できます。
    • 短期間で製品のバリエーションを増やすことが可能です。

デメリット

  1. 品質のばらつき
    • 規制が緩いため、同一名称の商材であっても、各社によって品質にばらつきがあることが多いです。
    • 粗悪品が出回るケースもあり、安全性や耐久性に問題がある製品が市場に出回ることがあり、消費者にとってリスクが伴います。
    • つまり信頼性や安全性の伝える何かがない限りは、消費者の購買には至らないということです。
  2. 信頼性の低さ
    • 機器や企業によりけりが前提ですが、医療機器ほどの厳格な品質管理が行われないため、信頼性に欠ける場合があります。
    • 使用中に不具合が発生しても、保証やサポートが不十分なことがあります。安価なために壊れても仕方がない機器だと不文的に感じさせてバイアスがあります。
  3. 保険適用外
    • 雑貨は基本的に保険適用の対象外であり、全額自己負担となります。
    • 特に医療目的で使用される場合、保険が適用されないため経済的負担が大きくなることがあります。

医療機器と雑貨は、それぞれ異なるメリットとデメリットを持っています。医療機器は高い安全性と信頼性が求められるため、厳格な規制に従って開発されますが、その分コストや開発期間が長くなります。一方、雑貨は規制が緩く、迅速に市場投入が可能ですが、品質や信頼性にばらつきがあります。特に保険適用の観点から、医療機器は患者の経済的負担を軽減するメリットが大きいです。それぞれの特性を理解し、使用目的に応じた適切な選択を行うことが重要です。

そして重ね重ねになってしまいますが、医療機器が医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく医療機器として認証が必要かどうかを判断するのは、販売元である各社ではなくPMDAや厚生労働省等になります。不安がある場合は有識者や医療系特化の弁護士に相談することも重要です。またPMDAも無料相談対応をしているので、これらを活用することも重要です。

 

PMDAの医療機器認証プロセス

日本における医療機器の認証プロセスは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と厚生労働省によって管理されています。以下に、PMDAの医療機器認証プロセスを詳しく説明します。無料相談以降に関しては有料相談になるため、一定の費用がかかることは念頭に入れておくようにしてくださいPMDA相談費用はこちらを参考にしてください。

相談を繰り返す中で「医療機器なのか雑貨なのか」の結論が出ます。また相談が進むに向けて、医療機器の方向性が強まれば、臨床試験の詳細(プロトコールや必要被験者数等)が決まり、概ね臨床試験でいくらくらい必要になるのか?も概算ではありますが予測がついてきます。

1. 医療機器の分類と製品計画

まず、製品のリスクレベルに基づいて医療機器をクラスIからクラスIVまで分類します。この分類により、必要な認証プロセスや規制要件が決まります。

  • クラスI: 一般医療機器(低リスク)
  • クラスII: 管理医療機器(中リスク)
  • クラスIII: 高度管理医療機器(高リスク)
  • クラスIV: 特定高度管理医療機器(極めて高リスク)

2. 製品の設計・開発

製品の設計・開発段階で、品質管理システム(ISO 13485など)を導入し、製品の安全性と有効性を確保します。この段階では、リスク管理や試験計画も策定します。試験計画に関してはこの部分から実際に臨床試験等をご協力いただける医療機関や医師との協力が必要不可欠になります。

3. 前臨床試験および臨床試験

製品の安全性と有効性を評価するために、前臨床試験および臨床試験を実施します。臨床試験では、製品が実際の使用環境でどのように機能するかを評価し、データを収集します。必要な被験者数にもよりますが、半年〜の時間軸はイメージしたほうがリスクはありません。被験者が集まらないケースもあれば、そもそもご協力をいただける医療機関を探す必要もあります。それら次第では年単位になる可能性があることも排除してはいけない考え方になります。

4. 申請書類の作成

申請に必要な書類を作成します。主な書類には以下が含まれます。これらもまた非常に時間がかかり、複雑な作業になります。また追加での資料提出を求められるケースもあるので出せばすぐに終わるものではないと肝に銘じておきましょう。

  • 技術文書(製品仕様、設計図、製造プロセスの詳細)
  • 試験データ(前臨床試験、臨床試験の結果)
  • リスク評価文書
  • 使用方法および警告ラベルの内容

5. 認証申請の提出

完成した申請書類をPMDAまたは登録認証機関(クラスIIの場合)に提出します。提出後、書類審査が行われ、追加情報の提供や補足説明が求められることがあります。

6. 審査プロセス

PMDAによる審査プロセスは以下の通りです:

  1. 書類審査:
    • 提出された書類の内容を確認し、製品の安全性と有効性を評価します。
    • 必要に応じて追加情報の提供や補足説明を求めます。
  2. 実地調査:
    • 必要に応じて製造施設の実地調査を行い、品質管理システムの適合性を確認します。
  3. 専門委員会の評価:
    • 高度な技術や新しい技術を含む製品の場合、専門委員会による評価が行われます。
  4. 最終審査と承認:
    • すべての審査が完了し、問題がなければ最終的な承認が行われます。

7. 製造販売承認の取得

審査が完了し、承認されると、製造販売承認を取得できます。これにより、製品を市場に出すことが可能となります。

 

最後に

伝えるべきことはたくさんあるのですが、これらはあくまで参考であり、個別具体の案件ごとに対応すべきことが変わってきます。ここまで記載しただけでも文字量がかなか文章だけではお伝えしきれない部分もあるためまずはここまでで、自社のサービスを振り返ってみてください。実際に医療機器やヘルスケア機器のプロジェクトを進め、「これはもしかしたらグレーなのでは?」とリスクを感じた方はまずは気兼ねなくご相談ください。提携の弁護士と共にリーガルチェックを行うことが可能です。お問合せは下記メールからお願いします。遠方の企業様はzoomやmeetでの打ち合わせ対応を行なっておるのでご安心くださいませ。

お問合せ/相談 info-kango@brainactz.com

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