【2024年版】信頼関係構築の為には”空気は読まない”の科学的根拠

◇:信頼関係を構築するのであれば、絶対に空気を読んだ方が良いですよね?

看護師が訪問看護ステーションや病院で働いていれば、利用者や患者と信頼関係を築く必要が沢山出てきます。信頼関係構築の事をラポールなんてビジネスで呼ぶ事も多いですよね。このラポールに関しては看護師が病院や訪問看護で必要としている為に、実はGoogleで検索さる事も多い言葉なのです。ではまずこのラポールについて少し説明していきましょう☆彡

ラポール(rapport)とは英語なのかなと思いきや、実はフランス語が語源になります(笑)もともとは心理学で使われる言葉で「心の懸け橋」というような意味だったようですが、セラピストとクライアントの「心の通じた状態」や「信頼関係がある状態」をラポールと呼びます。ラポールの構築やラポール形成なんて表現でビジネスでも一般的な言葉になってきていますね。

もちろん職場内で考えても、同僚の看護師や、上司、医師やリハスタッフ、信頼関係がないよりはあったほうが絶対良いですよね。信頼関係があれば人間関係だってよくなること間違いなしです。これも病院や訪問看護ステーションという職場内のラポール形成という事になります。

信頼関係であるラポールを構築する。その為には、少しくらいは自分の感情を押し殺さないといけない!!と考えたことはありませんか?例え反対意見だと自分自身が思っていても、空気を読んで「ここはひとつ黙っておくか!!」と他の看護師の意見を黙って聞いていた事だってあるでしょう。

患者や利用者の会話を空気を読んであわせる事もどうようですよね。空気の読めない看護師は、自分の意見をズバズバ言って「まったくそんなんじゃラポール形成できないでしょ!!」と感じたことはありませんか?

※ちなみにズバズバ伝えるというのは、厳しい言葉で伝える事とはまた違いますよ。あくまで伝え方は丁寧にすることが大切です。伝え方に関しては過去に講義しているのでこちらもあわせてご覧ください。

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このように空気を読みコミュニケーションをとる事が、まさか逆に「ラポール形成を阻害してしまい、コミュニケーション能力が低い人」と思われたらビックリしませんか?相手を思って、ラポールを構築しようと思った行動が逆に信頼関係を壊したり、人間関係を壊したりしてしまう可能性だってあるのです。つまりラポール形成やラポール構築が全くできない状態と言えますよね。これらが実証されるような興味深い研究がシカゴ大学から発表されたのです。

ズバリどのようなか結論かと言えば、コミュニケーション能力が低い人は、空気を読んで喋る人という発表がされたのです。言い換えれば空気を読まない看護師の方が信頼関係の構築ができたり、人間関係の構築が出来き、結果的に患者とも利用者ともラポール構築が出来る!という事なのです。

「それは絶対にない(笑)」と看護師様も感じると思います。空気を読む会話をもう少し補足するならば、看護師様が仕事上の誰かと会話をする時に空気を読んで自分の本心を隠して、一生懸命相手に合わせて会話をしようとするほどに、コミュニケーション能力が低いように見られるという事が発表されたのです。

訪問看護ステーションや病院で利用者や患者から話しかけれられたときに、「間違っていると思うけど、あんまり突っ込むと相手の自負心を傷つけてしまいそうだから黙っておこうかな。」とか「専門的な話をしすぎて気まずくなったら嫌だから、ここは批判せずに時を流しておくか。」と空気を読んで、黙っていたりあえて批判や否定をしないこともありますよね?

「素晴らしい!!これぞ相手を考えた看護師の行動です!!」と感じるかもしれませんが、一見するとラポール構築が出来そうなこの行動は、実は相手にとっては素晴らしい看護師の行動とは思っていない可能性が高いのです。

シカゴ大学ではまさにこの気になる部分を実験しました。どのような実験かと言えば、自分が思っている事を空気を読んで言わない人と、自分が思っている事を空気を読まずに言う人でどちらの方が、ラポール構築が出来て、人間関係が良くなるのか?という実験をしました。

そもそも「空気を読む/読まない」とはどういう定義かを決めておきましょう。「空気を読め!!」と悪口的に広義で使われてしま事も多く、それを想像するとまた解釈も異なってしまうので。空気を読まないとは、ここではシカゴ大学実験で言う所の「相手の事を考えて、自分の意見を言わない事。」と定義します。

一般的に想像する「空気が読めない会話」とは、論点とは全く異なる意見を言う事をイメージしますが、これは論点がずれていたり、話を理解していないというのが正しい表現であり、空気が読めないとはまたちょっと違いますよね。。

例えば訪問看護ステーションや病院での会議で「看護師の働き方改革」を話していたとしましょう。「お休み増えたら、趣味に没頭したいです!!実は私大学の時から女子野球やっていたんですよ!!皆さん一緒に野球サークル作りませんか?」と発言する看護師がいたら、「気持ちはわかるけど、それは論点がずれているし、今じゃないでしょ…」という気持ちになると思います。

一言で「空気読めないの?」と言いたくなる気持ちもわかりますが、ここでは「それは論点が違いますよね?」が正しい日本語という事になります。あくまで今回の実験は論点は同じであり、空気を読んで黙る人と、空気を読まず自分の意見を言う人はどのようなコミュニケーション能力の違いや、ラポール構築や人間関係の変化がるかという事を実験しました!!

◇:相手を思って空気を読んでも、ラポール構築出来ず、メリットがない!?

シカゴ大学の論文では、空気を読んで自分の気持ちを隠したり、相手の会話と合わせる為に、良かれと思ってちょっとした嘘をついてしまう事は、ラポール構築は出来ず、人間関係に良くないと伝えています。むしろ空気を読まずに正直に自分の思いを伝えた方がラポール構築が出来て、人間関係が良くなる事がわかりました。

看護師同士の会話でも、利用者や患者との会話でも空気を読んで、自分が言いたい事を我慢した方が人間関係が円滑にいくような気がしませんか?しかし相手を思い空気を読む行動の方が、正直に物事を言わない人よりも人間関係が崩壊しやすいのです。それではシカゴ大学ではどのような実験をしたのかみていきましょう。

シカゴ大学の研究は3つの実験で構成されていました。150名の男女を集めて空気を読む/読まないグループに分けたのです。

◇:空気を読む/読まないを検証するための3つグループ
グループ1:3日間出来る限り正直にコミュニケーションをするグループ
グループ2:3日間出来る限り相手に対して親切に気を使ってコミュニケーションをしてもらうグループ
グループ3:3日間出来る限り、自分の会話や行動が「相手に対して適切なのか?喜んでくれているのか?」を意識しながらコミュニケーションをしてもらうグループ

言い換えるのであれば、グループ1は空気を読まず正直に自分の思いを伝える、グループ2は空気を読んで相手に気を使うグループ、グループ3はさらに空気を読んで、相手の望むであろう回答をするグループにわけたって事ですね。

普通に考えるとグループ3が一番相手の事を考えているので、信頼関係も人間関係も良好になる気がしますよね。看護師として利用者や患者と接するときも、「相手に対して適切か?」とか「喜んでくれるのか?」を意識している看護師も少なくないでしょう。なんと言っても訪問看護ステーションや病院で考えれば、相手の事を考えて、自分を殺してでも相手に合わせるのが、ラポール構築が出来て、一番良いコミュニケーションのように錯覚してしまいます。

3日間コミュニケーションをとり、全員に対して「会話をどれくらい楽しめたのか?」「相手との人間関係がどのくらい変わったのか?」「長期的にみて相手とのラポール構築や人間関係がどれくらい変わったのか?」等々を様々なチェックテストを行いました。

空気を読まず自分の正直な意見利用者や患者に向けて正直に自分の意見を伝える看護師なんて、絶対に信頼関係構築や、人間関係が上手くいくはずない!!と直感的には錯覚してしましますが、結果は空気を読まずズバズバと正直に話しても、全く問題なく、ラポール構築に悪影響がある事は観察されなかったのです!!

つまり看護師として空気を読まず正直に伝える事は、相手に嫌われるだろうな?とか相手が嫌な気持ちになるだろうな?と考えてしまいますが、思いのほか相手は気にしていないのです。

それならば!!とさらに追加実験を行いました。もっと極端に空気を読む読まないの2つのグループに分けてみたのです。

◇:さらに極端な空気を読む/読まないグループ
空気を読むグループ:研究者が話題のリストを作り、さらにそのリストに基づいた会話をするグループ
空気を読まないグループ:会話の話題に指定はなく、自由に出来るだけ正直に話すグループ

この結果は想像通りでした。より振り切れた実験にも関わらず、先ほどの実験と同じように、正直に自分の考えや思いを伝えても、ラポール構築や人間関係に悪影響はなかったのです。むしろ実際には悪影響がないどころが、お互いの関係性を高める事に役立ったという事です。つまりラポール構築が出来たという結論になるのです。

◇:訪問看護ステーションや病院という組織の中でも、ラポール構築の為に正直で大丈夫??

訪問看護ステーションや病院で看護師として働く事は会社で働く事です。自分自身のキャリアだって考えるでしょう。余計な事をいって立場を悪くしたくないと、正直に意見を言う事をネガティブに考えてしまう事もあるでしょう。

不思議なもので訪問看護ステーションや病院のように組織に入ると、正直に話すことはネガティブな印象を持ってしまいますが、実際には正直にしゃべる事は問題はありません。むしろ正直にしゃべったほうが人間関係はよくなるという事です。自己開示なんて表現を良くしますが、自分が何を考えているのを相手が知る事でラポール構築が出来て、信頼関係や人間関係が築かれると言われているのです。

例えば子供たちを想像してみてください。小児看護をしているときに妙に聞き分けがよい子供の方が「大丈夫かな?ストレス抱えすぎていないかな?」と逆に心配になりませんか?妙に丁寧な挨拶やおべっかを使うような返事をしてくる子供をみると、「良い子だ。」と思うよりも「子供らしくないな。」感覚的に思ってしまうと思います。

実は大人でも同じ感情を持つのです。自分に合わせてきているなという会話は違和感を感じ相手に伝わってしまいますし、なんとも言えない感情になります。つまり本音で話していない、自己開示をしてくれていないと感じてしまいまい、ラポール構築は難しくなり、信頼関係も人間関係も良い状態になるとは言えないのです。

◇:正直にしゃべるとは悪口を言う事ではありません(笑)

それでは正直になんでもかんでも喋るぞ☆彡空気なんて読まないぜー!!と思った看護師様、一回深呼吸をしましょう。正直にしゃべるというと誤解をされがちなのですが、正直にしゃべる事は相手の悪口を言う事や相手が嫌な事を言う事ではありません(笑)空気を読まずに伝えるべきなのは、自分自身の感情を表現する事です。

訪問看護ステーションや病院での会議の場や、利用者や患者、その家族と話すしている時に、ただただ「それは間違っていますね。」と言えば信頼関係もなく、極端に印象の悪い看護師になります。あくまで相手の意見を受け止めたうえで、自分自身も反対意見を持っている事を丁寧に伝える事です。

人間関係構築の為には、空気を読まない事、言い換えれば自分の意見を言う事や自己開示が重要ですが、伝え方に対してはちゃんと努力する事が重要だと研究でも示されています。

ラポール構築の為に必要なコミュニケーション能力とは一体なんだ?それは空気を読んで、相手に合わせたり、黙る事だと思われがちですが、この方法をとっていては、実はいつまでたってもコミュニケーション能力は上手くなりませんし、人間関係も改善しません。

例えば病院や訪問看護で会議の場があるのであれば「〇〇先生がおっしゃることもわかります。ただ看護部としては〇〇を大切にしたいと考えています。」のように、相手を否定するだけではなく、自分たちの意見を持ち伝える事が、真の意味での空気の読まない行動になるので、相手も皆さんの感情や意見を理解してくれて、結果的にラポール構築につながるのです。

最悪の空気を読まない発言としては「だから先生はいつも看護部から嫌われるのよ!」のように悪口にならないように注意してくださいね。これは意見ではなくてただの悪口です(笑)病院であっても訪問看護であってもビジネスマナーは守るようにしましょう。そして医師が言ってるのだから発言する必要はないなと、空気を読んでしまう事はまた信頼関係を毀損してしまいます。

訪問看護ステーションや病院で関わる誰であっても、自分の感情をしっかりと表現する事が大切です。自分の考えたことや、思っている事を、不器用でも丁寧に伝いようよ表現する努力をすれば、コミュニケーション能力も、人間関係も改善するという事なのです☆彡是非実践してみてください!

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