学生が抱く、訪問看護でお茶しに行くだけ?それって看護なの?

なんだか接待みたい?それもサービスなの?

筆者は大学病院付属の3年制の看護学校に通っていました。3年生になると、そのほとんどを実習と国試の勉強で追われる日々……今までで一番勉強した時期かもしれません。
今回は訪問看護について学生の頃に思い描いていた部分と、実際働いてみての違いについてお話ししたいと思います。

学生の頃、実習先といえば大学病院内で行い、また同じ系列の病院に行って実習を行っていました。先輩からの情報で、母性の学生担当の〇〇看護師には注意、小児は〇〇先生が担当だから記録類は手抜き禁止などというありがたい情報得て、同期で共有し日々の実習に取り組んできました。
実習先の中にもちろん訪問看護もありましたが、当時の訪問看護は楽な実習先とされていました。(というより、付属の看護学校なので手薄な病棟に新卒者を送り込みたいという病院と教員側の策略だったのかな……とも感じますが)
実際、訪問看護師の方々も、気を抜いて楽しく実習していってよ~という感じでした。
訪問内容もバイタルサイン測定をして、記録して、残りの時間は利用者さんとケーキとお茶をして終了という訪問先があり、当時学生だった私はこれって仕事なの??と感じることがありました。その後は、学校の先生とミーティングを行い、その疑問点を話題に出したのですが、お茶のみ=看護という視点は利用者さん側からすれば成立するのかなという、曖昧な感じで消化した記憶がありました。
あれから15年が経ち、病棟看護から訪問看護へと転身した筆者ですが、もちろん訪問先でお茶して終了という利用者さんが数名います。訪問看護の時間にお茶をする利用者さんは、お話し好きな独居の女性がほとんどです。
また、ご主人の介護は自分で出来るという事で、訪問看護師にお茶を飲みながら介護の相談や緊急時の対応の為に依頼するという場合もあります。緊急時の対応を必要とする場合に、訪問看護に訪問してもらうという場合もあります。
利用者さんからの視点で、セルフケアが自立しており、看護の手は必要ないけど介護の相談をしたいという場合や、身体的な状態を見てもらいながらゆったりとした雰囲気でお話ししたいという場合がほとんどなので、一見お茶をしているようですが医療的な部分を必要として訪問看護を導入している場合がほとんどです。
また、看護師側からすると、バイタル測定をしてお茶をしに行くだけではなく、その裏側では緊急時の対応や今後起こりうる症状の予測、療養先の選択、自宅での生活方法や工夫など利用者さんの希望とすり合わせながら調整を行います。そして、関係者や家族にも情報提供を行います。
訪問看護は病院ではないため、身体的な状態を予測して対応する必要があります。
また、病気に対する想いも利用者さんそれぞれ違うため、看護師が告知するのか、医師なのか、家族なのか、その家庭で様々です。
訪問看護は利用者さんの希望が第一なので、利用者さんや家族の性格や考えを尊重しながら対応しなければならない為、筆者は病院看護よりもより気遣いや一般常識や医学の知識を必要とする分野だと痛感しています。
しかし、それらをマスターすることで、仕事以外にも暮らしの中で視野が広がるような気がします。
訪問先でのお茶もまた重要な役割を担っているのです。

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