令和元年(2019年)の都道府県毎の訪問看護ステーション数の推移を考察してみる

昨年比107.1%で訪問看護ステーション数は増えています。

訪問看護ステーションって増えてるんだろうなーという感覚はありますが、どれくらい増えているのだろう?という定量的なものズバッと出してみたかったので、公的データをExcelで加工してみました。想定以上にデータを探すのが大変でしたので、もし偶然にもこのサイトをご覧になった方はご自由にこちらのデータをお使いください。

※1:弊社で著作権を持つつもりも全くないので自由に使ってください
※2:役になったなーと思って頂ければ、この記事だけでも共有して頂けると嬉し泣きします
※3:さらにデータ分析の依頼など頂ければ、感動のあまりジャンプしてしまいます

医療者の皆様のお力に少しでもなれれば!!そして訪問看護業界に少しでも寄与できればという思いを込めて色々な分析をしてみました!!

数字に騙されない為の数字の見方は以前コラムで講義しましたの、是非あわせてこちらも読んでみてください!!

【5分じゃできないw】採用成功の為の統計学/データ分析(基礎編)がっつり教えます!!まずは大前提の数字の見方を教えます~のーち先生の統計学講座~

訪問看護ステーション数と人口、そして人口動態を考えながら、色々な角度で分析していきたいと思います!!今後は看護師数なども含めて分析予定です。本日のデータはご覧の通り!!

本日のデータ分析

1:都道府県ごとの訪問看護ステーション数を昨年比で考察してみる
2:都道府県ごとの訪問看護ステーション数をランキングしてみる
3:都道府県ごとの必要訪問看護ステーション数を数学的に算出してみる

それではデータ分析のスタートです!!訪問看護に興味があるぞ!!という看護師様がいましたら是非お力を貸してください。

1:都道府県ごとの訪問看護ステーション数を昨年比で考察してみる

令和になって全国訪問看護事業協会様のデータが更新されていたので、ちょいとExcelいじって数字を見ていきたいと思います。2019年と2018年の都道府県毎の訪問看護ステーション数の推移を表にしてみました。
※データ出所:令和元年訪問看護ステーション数調査結果

訪問看護ステーションは増えている!!って印象はあったのですが、昨年と比較してどれくらい増えていたのでしょうか?まずは下記の図をご覧ください。

なんと予想外な事が起きているのです!!
人口を考えれば当たり前に東京が1位なんだろうなと思っていたのですが、まさかまさかの大阪が1位でした。

東京の訪問看護ステーション数は1139ステーションと昨年に比べて85ステーション増え(昨年比108.1%)でしたが、大阪の訪問看護ステーション数はなんと1218ステーションあり、昨年に比べて116ステーション(昨年比110.5%)で増えているのですよね。この大阪の訪問看護ステーション数の増え方は全国で見ても1位なんですよ。

後のデータで記載しますが、東京(東京都の人口に対する65歳以上比率23.0%)と大阪(大阪府の人口に対する65歳以上比率27.2%)を比べると65歳以上の人口構成比率が東京よりも大阪の方が5ポイントほど高くなっているので、数字上でみていけば、大阪の方が高齢化が東京よりも進んでいるという事が起因かもしれませんね。

一方で少子高齢化でもあり、後期高齢者も増えている日本で考えれば医療は在宅に進んでいくというのは、釈迦に説法になってしまいますが、逆に減ってしまっている県もあるのですよね。

2019年と2018年を比較して都道府県毎との訪問看護ステーション数が減ってしまっているエリアは3県になります。
ざくっと減ってしまっているのが岩手県。昨年に比べて24ステーション(昨年比74.7%)減っております。そして、奈良県(昨年比99.3%)と沖縄県(昨年比94.7%)となっております。

大阪と奈良は近いのになぜなんだろ・・・・もしこの辺の事情をご存知の方がいたら是非教えてくださいませ!!

info-kango@brainactz.com  こちらにドシドシご連絡お待ちしております!!

2:都道府県ごとの訪問看護ステーション数をランキングしてみる

そしてさらに見ていただきたいのが下記の図2になります。こちらは訪問看護ステーション数を都道府県毎でランキングをつけてみました。

堂々の1位は大阪、2位が東京、3位が神奈川となっております。愛知、兵庫、福岡、北海道、埼玉、千葉と続いているのですが、こうして眺めてみると必ずしも人口動態と相関をしていないという事はわかりますね。

そして下記をみていくと、47位が山梨県、46位が鳥取県、45位が山形県となっております。1位の大阪と47位の山梨県の訪問看護ステーション数の違いをみるとその数なんと約23倍!!数にして約1150ステーションも違うのですよ・・・この医療格差凄いですよね。

訪問看護ステーションで働きたい!!求人を見つけたい!!という看護師様にとってはステーションが増えるという事は選択肢が広がるという事なので、探しやすくなってきていますね。特に、大阪、東京、神奈川、愛知、兵庫、福岡、北海道、埼玉、千葉で考えれば(市区町村でわけるとまた結構違いますが)自分らしく働けるステーションを見つけやすいでしょう!!無料相談はコチラからも可能です。

もうちょっと分析すすめてみましょうか!!

2019年の都道府県ごとの訪問看護ステーション数を眺めてみましたが、そもそもステーション数が足りているのか?それとも足りていないのか?が気になったので、こちらも分析してみました。

外部環境のデータ分析をするときは人口動態とセットで考えることが多いので、今回も訪問看護ステーション数と人口動態のデータをぶつけて考察してみましょう。

まずは統計上の数字をみて、必要訪問看護ステーション数方程式を考えてみますか!!エリアを2軸でプロットすると、凄く見やすくなるので、訪問看護ステーション数と相関がありそうな変数を探す所からスタートしていきます。

もろもの変数で相関係数を出してみたのですが、相関係数を考えると65歳以上の人口と訪問看護ステーションが相関係数0.94だったのでこの2軸でプロット分析して考えてみましょう!!

※Excelで相関係数を出すときは=correl(列を指定,列を指定)というやり方が一般的です。

※沢山ある変数から相関係数を出したいときはExcelのオプションからデータ分析をアドインできますよ。

これを出せば、どこの都道府県が人口に対して訪問看護ステーション数が足りている、足りていないが現状の数字上でわかるようになるので「必要訪問看護ステーション数は?」の答えを出す方程式を考えてみました。
※1:あくまで定量的な数字だけで判断してくので予めご了承ください。
※2:人口が多い「東京・大阪・神奈川」は別格なのでデータから一旦除きます
   →日本で言えばTOP3で別格なので1軍ですね。

3:都道府県ごとの必要訪問看護ステーション数を数学的に算出してみる

それでは色々やった結果の図3をご覧ください。

※:人口が多い「東京・大阪・神奈川」は別格なのでデータから一旦除きます
   →日本で言えばTOP3で別格なので1軍ですね。

こちら横軸は65歳以上の人口になります。右に行くほど65歳以上の人口が多いという事になります。
縦軸は訪問看護ステーション数になります。上に行くほど訪問看護ステーションが多いという事になります。

真ん中斜めの点線の右上にy = 0.3014x – 2.8339という数式がありますが、こちらが都道府県ごとの65歳以上の人口を考えれば、これくらい訪問看護ステーションは必要ですよね!!という答えを出す方程式になります。

なので例えば人口が100万人いるエリアであれば、単位を千人にしているので、
1,000名=1
10,000名=10
100,000名=100
・・・
として考えてみてください。

なので今回の例では100万になので1000をかけると・・・
y = 0.3014*1000 – 2.8339になるのでY=298.5661
となります。

つまりこれは65歳以上の人口が100万人いるのであれば、約299ステーションないと駄目だよね!!って事を意味しています。

1:この1次関数の直線より下にある都道府県に関しては、訪問看護ステーションが足りないエリアとなります。

2:この1次関数の直線よりも上にある都道府県に関しては、訪問看護ステーションが行き届いているエリアという事になります。

そしてこの1次関数から下に離れるほど、訪問看護ステーションが足りていないという話になるわけです。

では訪問看護ステーションが特に足りてないエリアはどこでしょう?


「1:埼玉県 2:千葉県 3:静岡県 」
 このエリアは特に全国的にみても訪問看護ステーションが足りていないとこのデータからだけでは言えますね。

またさらに分析しようとすると、市区町村ごとで分析するともっと細かく出すこともできます。一概にこのデータからだけで訪問看護ステーションが足りないエリアと言ってしまうのはちょいと危険かもしれませんが、「今回のデータ」からだけで考えれば、足りないのですよ。。。

足りないから悪いって話ではないですよね。おそらく私が集計できるくらいなので、すでに行政でもこのような分析をして訪問看護ステーションを開設させる準備をしているかもしれませんし、このデータをみて出店計画を考えてくださっている大手訪問看護ステーション法人様もあると思うので、なにとぞ我が千葉県に開設をwww

せっかくなので必要訪問看護ステーション数も方程式にいれて算出してみましょう!!
まずは我が千葉県に必要な訪問看護数を考えていきたいと思います。

先ほどと同様に数式に当てはめていきましょう!!

千葉県の必要訪問看護ステーション数を計算してみる

y = 0.3014x – 2.8339
x=1692(千葉県の65歳以上人口)

y = 0.3014*1692 – 2.8339
=507.1349

つまり千葉県は約507ステーションがあることが、都道府県ごとの訪問看護ステーション数から相対的に考えると望ましいという事になります。
現状が376ステーション千葉県は有しているため、まだ千葉県は131訪問看護ステーションが足りないという事になります。

大阪が1年間で116ステーション増やしたので、それ以上のスピードで千葉県は訪問看護ステーションを立ち上げなければいけないという事になります。うーん。これは現実的ではないですね。

がしかし、恐ろしい事に2025年問題を考えると、訪問看護ステーションの増加以上に65歳以上の人口が増えるスピードの方が速いので、来年再来年と新たに方程式をつくりなおしたら、間違いなく今以上の訪問看護ステーションが必要になってきます。

では現状で訪問看護ステーションが少ないから、看護師様の転職活動に対してマイナスかと言えばそうとも限りません。逆に考えれば千葉県は今後高い確率で訪問看護ステーションが新設される可能性が高いため、市場としてはこれから大きくなる可能性が高いのです。

市場がこれから高くなるという事はどういうことかと言えば、ざっくりと話してしまえば看護師様の就業条件が良くなるって事なんです。なので千葉の訪問看護ステーションはまさに今からが狙い目ではありますね。
※千葉愛と経験を基にした個人の見解です。

どうでしょうか?皆さんも是非ご自身のエリアを計算してみると面白い結果になると思います。

いずれにしてもまだまだ訪問看護師も足りない状況なので、一緒に訪問看護の業界を盛りあえていきましょう!!

これからの医療は在宅医療が絶対的に必要になると思っています。その時に訪問看護師が足りない!!となるのではなく、一人でも多くの看護師様が訪問看護に興味を持っていただき、安心できる未来を共に築く事ができればと心より思っております!!

看護師の皆様、是非お力を貸してください!!

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