【5分じゃできない】採用担当の為の統計学(実践編)講座。データ分析で課題発見

課題を見つけてこそのデータ分析なんです

前回データ分析の基礎編という事で、数字の見方や簡単な数字の出し方をお伝えしていきました。難しかったですか?簡単でしたか?前回のコラムのリンクを張っておくのでコチラで復習してみてくださいね。

看護師様と言えどもこのデータ分析というのは経営だけではなく、採用にも、もちろん満足度や離職対策にも使われているので、是非ぜひここで学んで、日々の看護業務の中に生かしてみてくださいね。

過去に面白いなーとおもってデータ分析

・看護師様の勤務状況から離職可能性モデルを作る
・訪問看護ステーションの患者様と訪問看護師様の満足度相関分析
・1時面接と最終面接の担当者の相性で看護師の入職率は変わるのか?
・誰とペアを組めば離職率が高まるか
・等

様々な採用や勤続年数、離職に関する訪問看護ステーションや病院の分析をしました。共通して言えることは、課題を見えるかすることができれば解決策を考えることができるということです。

今回は採用の話にフォーカスしてデータ分析の話をしていきますが、やり方さえ理解していれば、後はちょっとした考え方の違いだけなので、基本的には全ての看護業務に活かすことができますよ。

質問などありましたらお気軽にお問い合わせくださいね。質問の多いものはまたコラムでお答えしていきたいと思います。

さて今日は実践編の授業をしていきましょう!!採用担当の為の統計学やデータ分析の方法をたっぷりとお伝えしていきます!!本日のポイントはこちら!!

本日のポイント

1:採用課題を見つけるためにセグメントをわけよう
  1.1:採用課題の仮説を立てる
  1.2:仮説を元にセグメントわけをしてみる
  1.3:セグメント毎にちょっとした分析をしてみる
2:採用課題を見つけるためにデータを比較しよう

それでは授業のスタートです!!

1:採用課題を見つけるためにセグメントをわけよう

1.1:採用課題の仮説を立てる

看護師/理学療法士の採用や専門職種の採用だけに関わらず、採用課題をデータ分析をすることは、実は採用コストを大幅に下げることが可能になります。まずは数字で見える化して課題を明確にすることがとても重要になります。採用課題を明確にするためには、セグメント毎に分析すると、何が課題なのかが明確になります。

まず先週の復習もかねて、第一にやること覚えていますか?そうです「分析の目的」を設定しましょう、今回は看護師の採用というお題にしてみましょう。「看護師の採用における、プロセス上の課題を明確にし改善し、入職数を最大化する」をまずは目的としてみましょう。

セグメントとはなんだろう?って質問があると思いますが、セグメントとは「ある変数」の要素ごとにわけるって事です。看護師と一言に言っても、年齢も異なれば経験も異なります。たとえば年齢ごとで分けることを「セグメント」とイメージしてください。「20代、30代、40代…」とか「急性期病棟経験有、なし」もセグメントになります。

どんなセグメントのイメージが沸いたら、次は自問自答してみてください。「採用が上手くいっていない理由ってなんだろう?どんな入職する看護師と、入職しない看護師にどんなことなる特徴があるだろう?」と仮説を立ててみましょう。

【参考】採用が上手くいっていない仮説
  1. 「もしかしたら保有資格ごとに入職数や入職率は違うのかな?」
  2. 「年齢ごとに入職数や入職率は違うのかな?」
  3. 「看護学校の卒業校毎に入職数や入職率は違うのかな?」
  4. 「市区町村ごとに入職数や入職率は違うのかな?」
  5. 「急性期病棟の経験の有無で入力率は異なるのか?」
  6. 等々

このように当たっている、間違っているなどは気にせずに、仮説を考えてください。仮説はあくまで仮説なので、仮説が間違っていても全く問題ありません。仮説が間違っていたという検証ができたので、これはこれでデータ分析成功なのです。この仮説がまさにセグメントであり変数になります。つまりここでは「保有資格」「年齢」「看護学校」「市区町村」といった感じです。

1.2:仮説を元にセグメントわけをしてみる

例えば年齢のセグメントはどんな分析をするにしろ、よくやるので一緒に考えてみましょうか。例えば年代ごとのセグメントをするとなるとシンプルにこんな感じです。

年代の変数:10代、20代、30代、40代、50代、60代以上、その他これらのセグメントで分析していけば、どの年代に課題があるかなどもわかりますね?

もう一つくらい実践的にお話をすると「資格」という変数で考えると資格の変数:看護師、准看護師、無資格

といった感じになると思います。

ポイントは何かといえばMECE(ミーシー)なんて表現をするのですが、漏れなくダブりなくセグメントわけをすることが大切なんです。

こことても大切な話なので具体的に話しますね。例えば今現状100名の個人情報を取得していると考えてください。これを資格ごとの変数でセグメントしてみましょう。

■セグメントわけの悪い例

看護師:50名
准看護師:30名
無資格:10名
合計:90名

あれ…100名いるはずなのに、10名が消えている…自分1人だけの責任で分析するときは、究極的には気にしなくても良いかもしれませんが、分析とは基本的に第三者に納得してもらう事を目的としているので、都合の悪い10名を隠すことは極端な表現では数字の不正といえます。
これセグメントわけの悪い例で、合計しても数が合わないときはこの10名が資格の変数で言う所の何なのかを明確にしなければいけません。

一番簡単なのは「その他:10名」でくくってしまうのがシンプルですし時間も取りませんね。「不明:10名」というのでも考えられますし、単純に集計ミスで「学生(資格取得見込み):10名」とかもありますよね。もちろんこれらを色々使って「学生:5名」「不明:5名」というようにセグメントわけをすることもできます。

■セグメントわけの良い例

看護師:50名
准看護師:30名
無資格:10名
学生:5名
不明:5名
合計:100名

イメージ湧きやすいように図にしてみました。

データ分析のセグメントわけイメージ

どうでしょう??これであればMECEになっていますよね?漏れなくダブりなく、合計人数が100名になっていますね。細かくみていくときは看護師だけ、准看護師だけと分析するケースも多々あります。ただ一方でまず全体を見るときは、分母がいきなり少なくなるような分析はお勧めしません。第三者に報告するときなどに、なぜ100名の個人情報があるのに90名で分析しているのか?を説明できなくなってしまうからです。

分析は相手に理解してもらって初めて正しい分析となるので、正しい数字を出すことを常に意識しましょう。

 

1.3:セグメント毎にちょっとした分析をしてみる

さあここまで来たら四則演算してみましょう。エクセルで対応されるケースが多いと思うので、それも踏まてお伝えしていきますね。今回の分析の目的は「看護師の採用における、プロセス上の課題を明確にし改善し、入職数を最大化する」になりますよね。ではわかりやすいようにまずは前提条件のデータを決めてみましょう。

■採用におけるデータの参考

全個人情報数:100名
全入職者数:10名

まずは簡単にこんな感じですすめてみましょうか。
前回を思い出してくださいね。入職率(CVR)を出してみましょう!!

入職率=10名入職/100名の全個人情報
になるので、入職率は10%ですよね。

なので入職数の方程式は「入職者数=個人情報数×10%の展開率」になります。

つまり、20名の採用目標であれば「20=個人情報数×10%」になる為に、「個人情報数=20/10%」の200名の個人情報を獲得すれば、採用目標は達成するという事もわかるわけです。ここまでは前回の復習になります。さあそれではせっかくなのでセグメントわけした変数で分析してみましょうか。保有資格ごとに分析してみましょう。

■保有資格セグメントごとの個人情報数と入職人数

正看護師:個人情報数 50名 入職者数 8名
准看護師:個人情報数 40名 入職者数 2名
無資格:個人情報数 10名 入職者数 0名
合計:個人情報数 100名 入職者数 10名

と仮定してみましょう。100名の分母のセグメントを保有資格で分けることができていますね。ではいつもと同じく、セグメント毎にまずは入職率(CVR)を出してみましょう。

セグメント毎にまずは展開率(CVR)

正看護師:個人情報数 50名 入職者数 8名 展開率=16%(8/50)
准看護師:個人情報数 40名 入職者数 2名 展開率=5%(2/40)
無資格:個人情報数 10名 入職者数 0名 展開率=0%(0/10)
合計:個人情報数 100名 入職者数 10名 展開率=10%(10/100)

良い感じに出てきましたね。ちょっとこれを並べ替えてみましょう。そしてエクセルで見やすくしてみましょう。並べ替えのポイントは大きな所から、小さなところへ。つまり一番大きな塊は全体を示している、合計ですよね?なので合計を一番上に置いてみると、全体から細部へ思考がしやすくなりますよ。

ポチポチと数字を入力してもらえれば、こんな感じに作れると思います。展開率は関数を入れてみると楽ですよ。簡単にやるなら「=B4/B3」(合計をB行、、入職数を4列、個人情報数を3列と仮定した時の計算式になります。※ Excel中級以上であれば「=IFERROR(B2/B2,0)」とかにしておくと、割り算が出来ないときに0と表示されたりにもできますよ。

グラフにしてみるとさらに視覚的にわかるようになりますね。

こうしてみるだけでも、何か見えてきましせんか?全体としては10%であった入職率であっても、資格ごとで見れば正看護師が16%の入職率で准看護師は5%。この差は凄いですよね。つまり仮説としては、面接時に正看護師にはビタッと話が刺さっているが、准看護師には刺さっていなことがわかります。つまり資格ごとに話す内容を変える必要があることがわかりますよね。

数字を見る時のポイントになりますが「比較」をすることが大切なのです。どうですか?簡単ですか??難しいですか?慣れも必要にはなりますが、焦らず何度でも見直してくださいね。

ここまできたらデータの見方を次の章でお話ししましょう!!

→相談はコチラ info-kango@brainactz.com

2:採用課題を見つけるためにデータを比較しよう

こうしてデータを見るだけでも、「資格ごとで入職率が大きく異なる。なんでだろう?」と感じませんか?この「なぜ?」を感じることができれば、皆さんも立派なデータサイエンティストですよ。

そうです、数字というのは単体で出す事には意味がなく、比較をして初めてGOOD/BADを判断する事が可能になるのです!!

例えば無人島にある果物がりんごしかなければ、りんごしか選択肢がないわけです。果物が食べたいと思ってもりんごしかないのです。しかしバナナがあり、みかんがありパイナップルが無人島になれば、そのタイミングで初めて比較が可能となり「どっちが食べたい。」という「選択」をすることが可能になります。どれが美味しい、甘い、などがわかるようになります。

つまり良し悪しを比較をするためには、あたりまえですが1つのデータだけを眺めていてもダメなんです。ここで言えば保有資格でセグメントをすることにより、比較ができどのセグメントの入職率が良いのか悪いのかがわかるようになるのです。基準となるデータ(ここでは全体の入職率)、そして比較するデータが必要なのです。

さあ話を元に戻してみましょう。セグメント毎の数字まで表のように出すことが出来たら、次は数字を眺めてみましょう。順番としては下記のような感じです。

数字を比較するためのポイント

1:基準となる数字(基本は全体の数字や平均値や中央値)を決める
2:基準に比べてGOODなセグメントを見つける
3:基準に比べてBADなセグメントを見つける
4:GOOD/BAD共に「なぜ良いのか?」「なぜ悪いのか?」を考えてみる
5:それを元にHOW(どうすればいいのか)を考えてみる。

これもイメージしやすいように図にしてみましょう!!

まず基準値を合計の数値に定めると展開率は10%というのが一旦の基準になります。さあそれよりも数字が高ければ、入職率が高いセグメントですし、悪ければ入職率の低いセグメントという事がわかりますよね?

つまり16%の入職率を誇るのは正看護師様です。なので正看護師の入職率は高いという事がわかり、准看護師は5%、無資格は0%なので基準に比べて悪いという事がわかりますね。

ではなぜ正看護師の入職率は高く、准看護師や無資格は入職率が低いのでしょうか?次はココを考えてみましょう!!これがわかるだけでも例えば「准看護師様は入職率が基準値(平均値)に比べて5ポイントも入職率が低い。正看護師と比べると11ポイントも差がある。

という事は、正看護師と准看護師面接の時に同じことを言っても効果がないって事ですよね?それであれば准看護師の面接内容を大きく変えてみましょう。その為に何がささるか准看護師のニーズを調査してみましょう!!」とかなり具体的な施策を考えることが可能になります。

さらに考えるのであれば、広告費を考えれば極力無資格セグメントは除し、入職率の高い正看護師に刺さる広告露出をすることが一番費用対効果が高い広告といえます。特にリスティング広告をしている看護師等の大規模集客をしている訪問看護ステーションは、キャンペーン設定やリード文を変えるだけで成果が大きく変わってきます。

またもう一段細かく分析することも可能です。例えば「そもそも正看護師と准看護師では内定を出す率が大きく異なっていました。正看護師の内定率は95%ですが、准看護師の内定率は60%でした。内諾率は双方共に50%なので、准看護師に関しては求人広告の内容を変えてみよう。」と施策を変えることも可能です。面白いですよね。入職率だけをみた時と比べてより課題が明確になると感じませんか?数字を見ながらなぜだろう?と考え、また新しい仮説の証拠となる数字を見つけることがデータ分析の醍醐味ともいえます。

先に伝えたようにリスティング広告等のの内容を変えて無資格が多くてもいいから「数」をとるか、それとも正看護師が多い「率」を取りにくくかはまさに経営者や担当者がすべき「意思決定」になります。特に小規模訪問看護ステーションであれば、この役割を看護師/理学療法士がすべき状況もあるでしょう。

不安でいっぱいになると思います。しかしデータ分析をし、数字を元に意思決定をするので、採用成功する可能性というのはグンとあがるわけです。今回は数字としては3つだけ(個人情報数、入職数、展開率)だけなのですが、ここをもっと分解してみると、さらにさらに数字を元にした課題分析が出来るようになりますよ。

とにもかくにも、まずはココから。たったこれだけでも感覚ではなく数字を元にした「事実」がわかるようになるので、是非データ分析してみてくださいね。

利用者が増えサービス提供をしているのであれば、大切なことはいかに長くサービス提供し続けるかです。意思決定の遅れにより廃業や休業になってしまう訪問看護ステーション少なくありません。これでは利用者様の満足度を下げてしまいます。とにかくサービス提供し続ける。このために勝ち筋を見つけながら意思決定をし、続く訪問看護ステーションにしていきましょう。もちろん訪問看護求人JOBSはいつでも訪問看護ステーションのサポートをします。まずは気兼ねなくご相談ください。

→相談はコチラ info-kango@brainactz.com

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