◇:利用者と良好な関係が気付けているのか?そう思ったら”アレ”を調べましょう!!
訪問看護と言えば利用者様のご自宅に訪問し、沢山のコミュニケーションをとる必要があります。利用者様との関係性が良好で親しくなれるのであれば、それはなんて素敵な事でしょう☆彡病院と比べても訪問看護の特徴としては一人一人の利用者様と密にコミュニケーションをとる事ができるのが、看護師様としても訪問看護が楽しい!!と思える瞬間ですよね。
新しい利用者様と良好な関係性が築けるかな?担当変更になった利用者様とちゃんと仲良くなることが出来るかな?たまにそんな不安に襲われる事もあるでしょう!!じっくり考えてみたら、今訪問看護している利用者様とも、私はちゃんと良好な関係性がとれているのかな?言い換えれば仲良くできているのかな?と猛烈に不安になってしまったり(笑)
訪問看護師/理学療法士の皆様!!安心してください!!本日のテーマはまさにココです。利用者と看護師/理学療法士が良好な関係なのかがすぐにわかる”アレ”をお伝えします。そして良好な関係性を築くための方法や、その例外に関して海外の心理学の実験を基にお話ししていきましょう☆彡それでは本日の講義をスタートしていきましょう!!
◇:利用者と仲が良いかな?そんな心配になったらまずは”アレ”をチェック!!
さっきから”アレ”ばかりで、早く答えを教えて下さい!!とまだ思わないでくださいませ(笑)まずは今回の実験の概要からお伝えいたします。今回の海外の研究はカンザス大学の研究になります。429人を対象をした「親密性」に関する実験になります。この実験のポイントは2点になります。
◇カンザス大学の人と仲良くなる心理学的実験
1:親密性を築くためには、どれくらいの時間がかかるのか?
2:どんな話をすれば仲良くなるのか?
どのような実験が行われたのかを説明していきましょう。被験者はオンラインで過去半年間で新しい街に引越しなどをして人間関係が変わった人になります。まさに人間関係をゼロから築く必要がある被験者と言えますし、まさに「はじめまして!!」と利用者と触れ合う看護師/理学療法士様と近しい環境と言えるのです。
新しい街に引っ越し環境が変われば、新しい人脈が増えてきます。そして新しく出会った人たちと時を過ごした結果、どのように人間関係が変化していのか?これを定期的にヒアリングをして、親密度がどのように変わるのか?を調べた実験になります。
それではこの実験からどのような事がわかったのか説明していきましょう。冒頭から”アレ”と言って、看護師/理学療法士にフラストレーションを与えてしまっている”アレ”の正体をお伝えしましょう。これはズバリ”どれくらいの時間を一緒に過ごしているのか?”というのが親密度、言い換えれば仲の良さと相関性が高い事がわかったのです。そしてこの親密性には3段階のグレードがある事がわかりました。
◇:親密性を表す3つのグレード
グレード1:50時間の壁(カジュアルフレンド)
グレード2:90時間の壁(クローズフレンド)
グレード3:200時間の壁(ベストフレンド)
時間によって3つもグレードがあるの!?とビックリしますよね!!出会った時から「ビビビ」と何かを感じて親友になるのでは!?と思った方もいるでしょう。それでは1つ1つ説明してきましょう☆彡
◇:50時間の壁を越えた人たちとはどれくらいの親密性ですか?
この50時間といのはあくまで平均時間になるのですが、平均で約50時間くらい人と一緒に過ごすといわゆる友達と言えるような、カジュアルフレンドになるとされていました。友達と言っても、「話したことはあるし、顔は知っているし普通に話せますよ!」という知人レベルもあれば、「よく話す方かな?」と感じるケースもあると思いますが、こ知人なのか友達なのかこのあいまいなレベル感の事をカジュアルフレンドと呼びます。
親密性が格段に高いわけではないこの関係性になる為にも、逆に言えば50時間くらい、同じ時間を過ごす必要があると言えます。
つまり利用者と看護師/理学療法士も、まずは50時間は一緒にいる必要があるという事です。例えば1時間の訪問を毎週しているのであれば、月に4時間一緒にいる事になります。
50時間一緒にいる必要があると考えると、概ね1年の歳月は必要になると考えられます。つまり利用者様も1年経つと「看護師の〇〇さんが来てくれた。話しやすい人ですよね。」くらいのレベル感になるという事です。
ですので看護師/理学療法士の皆様が訪問してすぐに仲良くなることが出来ないな…とお悩みであれば、それは人間の本能として当たり前の事なので、あまり深く気にする必要はありません。それこそ時間が解決してくれるので、利用回数や時間にも依存しますが、どんなに少なくとも半年間はカジュアルフレンドレベルの親密性になる為には必要と言えます。
◇:90時間の壁を越えた人たちとはどんな親密性ですか?
50時間も一緒に過ごしても、顔見知りとかちょっとしっている知人レベルだと考えると、プライベートではなかなか大変ですよね(笑)それではもう一段利用者様たちと良好な関係を築きたい!!と思ったら、平均して90時間ほど一緒にいる事が必要になります。
90時間の壁を越えれば「お互いに仲が良い」とか「気が合う」と呼べる関係になるのです。親友か?と言われると、そこにはまだ達する事が出来ていないレベルですが、いわゆる一緒にいて「仲が良い!!」と思えるレベルになるのです。クローズフレンドという表現をしていました。看護師様と利用者様の関係で考えるのであれば「信用できる/信頼できる」というレベルと言えます。
では利用者と看護師/理学療法士の皆様が共に過ごす90時間と考えると、先の利用時間が1時間と考えると90日は必要になるという事ですね。訪問回数で考えるのであれば、毎週1回1時間の訪問だと考えれば90週は必要になってくるイメージですね。つまり1年半から2年は必要になるともいえます。
もちろん訪問回数や利用時間次第では、親密性を築く時間がもっと長くも、短くもなります。
◇:200時間の壁を越えた人たちとはどんな親密性ですか?
それでは信頼関係場マックスともいえる200時間の壁を超えるとどうなるのでしょう?利用者と最良の関係になるには?と考えると、平均で約200時間ほど一緒にいる必要があると言われています。
このカンザス大学の実験でも200時間を超えると「仲が良い」を大きく超えて「親友」と言える、とても大切で親密な友人関係に変わってくるのです。訪問看護で言うのであれば「熱狂的なファン」ともいえるでしょう。
では訪問看護の時間軸で考えるのであれば、どれくらいの年月が必要なのでしょうか?200時間と考えるとやはり200週は必要になります。つまり年数で言うのであれば3年~4年と言ったイメージになります。3年から4年経てば利用者様はファンになっているとも言えますし、関係性は最良の関係と言えるでしょう。
もちろん平均的な時間の話になるので、コミュニケーションが得意な人はもっと短い時間で最良の関係性を築く事もできるでしょう。「私はコミュニケーションが苦手なんだよな…」と思ってしまう看護師/理学療法士であっても、逆に言えば4年経っても最良の関係性を築けない…なんて悲しい事は心理学的には起こりにくいといます!!ここは是非安心して頂きたいポイントになります。
90時間と200時間には大きな開きがあり、200時間を共にしなければ「最良の関係性/親密性」とはなかなか言えないのは、訪問看護ではなかなかハードルが高いですよね。訪問看護ステーションとしては4年の関係性がある場合でも、担当変更などがあれば、200時間を共にしていないので、親密性はまだなく誤解されてしまう事だってあるかもしれません。それは担当変更しただけだからと思ってしまうかもしれませんが、利用者様と新しい看護師/理学療法士様は、たとえステーションとして同じ時を過ごしたとしても、関係性がまだ微妙である可能性がある事も忘れてはいけません。
◇:過ごした時間が異なるのであれば親密性は異なります
今回のカンザス大学の実験の面白い所は「一緒に過ごした時間」と「親密性」が相関性があるという事です。ですので利用回数の多い利用者様もいれば、利用回数も時間も短い利用者様もいらっしゃいます。
自分自身が訪問看護経験4年経って、入職時から担当した毎週1時間訪問の利用者A様と、隔週1回30分訪問の利用者B様がいたと仮定しましょう。二人と同じ時を過ごしたとを誤解してコミュニケーションをとってしまうと、上手くいかないケースも出てきてしまうかもしれません。過ごした時間が異なる為に、利用者様の活用状況に関しては頭に入れておくと、親密性に合わせて、正しいコミュニケーションをとる事も明確になるでしょう☆親密性が高いと勘違いして、妙に親しく接してしまう事はリスクがあるという事です。
といってもですよ…ぶっちゃけ人間同士なので上手くいかない事もありますよね?話が合わない事もありますし、そんな時間だけで仲が良くなるなんて言われてもね…と感じてしまいませんか?おっしゃる通りです(笑)まさにそれこそ、カンザス大学の実験のポイント2であり「どんな話をすれば仲良くなるのか?」だったのです!!
◇:口下手でも、会話が苦手でも心配ありません!!
それでは実際に同じ時間を過ごしたとして、実際に何をしゃべれば良いのか?話す内容はなんでも良いのか?という疑問も看護師/理学療法士様は感じていると思います。実は一緒に過ごす時間というのは「親密性」に関係性があったのですが、実は話す内容というのは「親密性」にほぼ関係がなかったのです!!
つまり口下手であっても、会話が苦手だったりしても、その空間に一緒にいるという事が大切になるという事ですし、まさに訪問をして訪問看護をする、その時間が長くなればなるほどに、親密性が高くなり、信頼が出来るというような関係性に変化をしていくという事なのです。
でもこの実験は1対1に限らず、複数で会っていても、そこにいるだけで自分は喋っていなくても、一緒にいる時間を過ごしていれば、一緒にいる時間としてカウントできる時間と言えると研究では伝えられております。
話すのが苦手だったり、コミュニケーションが難しいケースがあったとしても、無理にしゃべる必要がないと思えば、安心する事もできますよね。つまり利用者一人一人と向き合って、一緒にいて看護をすること、それが1分でも1秒でも長い事、それが一番大切な事だったりするのです。
それではこんな疑問が出てきませんか?「それなら職場の看護師/理学療法士たちも、同じオフィスにずっといれば、みんな仲良くなるって事ですか?わたしは人間関係で実は困っています…」このようなケースもあると思います。
ここにはまさに例外と言える条件があります。この50時間、90時間、200時間というのはお互いが積極的に参加して、一緒に過ごした時間をカウントするので、職場でただ一緒にいるだけではこの時間にはカウントされないのです。
ただし逆を言えば、積極的に誘い一緒にいる時間を増やせば、苦手な看護師/理学療法士との関係性も改善する可能性があるとも言えます。
ですので利用者様にも同様に義務的に訪問するのではなく、来週もまた会いたい!!と思って頂けるような気持ちを持たせ、お互いが積極的に「また来週お会いしましょう!!」と言える環境を作れば利用者と看護師/理学療法士の親密性は高くなり最良の関係が築けると言えますね☆彡
まずは”アレ”そうです、200時間一緒に過ごすことを目標にすれば、訪問頻度の大切さや訪問時間の大切さを異なる切り口で伝える事も可能となりますね。